2人目の出産を終えて、上の子の相手と新生児のお世話でヘトヘトになっているママも多いのではないでしょうか。
そんな2人目ママの悩みの中でもなかなか深刻なのが
「上の子が可愛くない」という悩み。
上の子は赤ちゃん返りすることも多いので、何かと手がかかってイライラしてしまうことはよくある話。
でも、「可愛くない」というレベルに達してしまう自分はもしかして異常なのでは?
と不安になることも。
今回は2人目出産後、上の子への接し方や愛し方が分からなくなりかけているママに向けて、経験談を交えてお話をしていきたいと思います。
2人目の産後、上の子が可愛くない!?
実は、産後に上の子にイライラしてしまうのは
「上の子可愛くない症候群」
という呼び名が付いているほど、よくあること。
しかし育児ノイローゼの一種とも言われており、ママの精神を追い詰める原因になるものです。
なぜママの精神を追い詰めるノイローゼの一種なのか?
それは自己嫌悪感が強くなってしまうため。
上の子も下の子も、平等に同じ愛情を注がなければいけない。
そう分かっているのに、どうしてもできない。
感情が抑えられないことで、自分はダメな母親だ、虐待してしまうのでは?などネガティブで悲観的な考え方をしてしまうようになります。
下の子を産む前は、目の前にいる第一子がいちばん可愛い存在です。
まだ、自分の子供は実質ひとりだけです。
でも実際に誰よりも小さくて可愛い下の子が出てきてしまうと、立場が急に逆転します。
一気に見える世界が変わるのは、子供だけでなくママも同じなのです。
突然自分の子供への感情が変化して一番戸惑っているのはママです。
世界一愛しているはずの子供を、抱きしめてあげることも躊躇してしまう。
なんでこんな自分になってしまったのか、と動揺してさらに精神的に不安定になりやすいのです。
産後、上の子にイライラしてしまう理由とは?
上の子にイライラしてしまうのは、はっきり言って当然のこと。
最初から上も下も平等に優しく接することができるママもいますが、そんなに器用にこなせない人だってたくさんいます。
上の子を可愛いと思えない理由を客観的に考えてみることで、解決策を見出しましょう。
1. とにかく上の子が大きく見える
赤ちゃんが比較対象なので、どうしても上の子は大きく見えます。
年齢差があればあるほど、大きく立派に見えます。
なので、下の子の方が可愛く見えるのは当然のこと。
大きな番犬よりも、子犬の方が可愛く見えるのと同じです。
上の子単体で見れば、上の子だってまだまだ小さくてかわいい子供。
しかし常に赤ちゃんと比較してしまう環境にあるため、かわいさの点では劣って見えてしまうのです。
また上の子と下の子の性別の差や、上の子の体格が良い場合などはもっとこの「可愛さの差」が開きます。
2. 上の子の赤ちゃん返り
赤ちゃん返りは、どんなに年齢差があっても形を変えて現れるものだと言われています。
1~2歳差の場合は赤ちゃん返り、というよりもむしろ上の子もまだ赤ちゃんと大して変わりません。
4~5歳差の場合は、一度落ち着いたイヤイヤ期が再発したような状態になり、小学生に上がっても反抗やトイレの失敗など、何かの形で嫉妬心のサインが出ることがあります。
しかし、ただでさえ2人の育児でやることも2倍になり忙しい毎日。
上の子の赤ちゃん返りで、さらに手間を取られるとイライラしてしまうものです。
ママもイライラを向ける場所がないので、どうしても上の子に怒ってしまったり、やることなすこと全てが気になって口うるさくなったりするでしょう。
3. 下の子を守る防衛本能
これも上の子と下の子の比較ですが、やはり赤ちゃんは無抵抗で無力です。
ママは下の子を守らなければいけない、という防衛本能も働きます。
例えば、上の子が嫉妬心から赤ちゃんにいたずらして、わざと泣かせてしまうケースも。
年の差が近ければ近いほど、上の子の理解力や理性も未熟なので危険なことも起こります。
どうしてもママは下の子安全に育てるため、上の子に注意したり我慢させたりしなければならない場面が増えるでしょう。
しかし、上の子としてはそれがさらに満たされない出来事となって、日に油を注ぐ結果になることもあります。
4. 上の子のマシンガントーク
赤ちゃんは静かに寝ているのに、上の子はママに対してガンガン話しかけてくるのでとにかくうるさい!
そんなことを感じたことのあるママも多いのでは?
「ママ!ママ!」
「みてて!」
「なんで?これなんで?」
「これなに?ママこれなに?」
同じことを何度もずっと言われたり、聞かれたりすると本当にイライラしますよね。
上の子に集中して相手しているときは普通に聞けることも、下の子のお世話をしながらや家事をこなしながらだと
「ちょっとでいいから静かにして!」
とイラだってしまうことも多いでしょう。
また、赤ちゃんが寝ているのに大きな声で歌ったり話したり、大きな音を立てたり。
仕方がないことでも、下の子も一緒に育てる上では時に厄介と感じることもありますよね。
5. 上の子のイヤイヤ期などの反抗期
2~3歳差の場合だと上の子がイヤイヤ期と呼ばれる第一反抗期の時期と重なります。
下の子がいなくても、この時期は大変です。
ちょっとしたことでも泣いて大暴れ。
一度怒ったり泣き出したりすると手が付けられない子供もいます。
これを赤ちゃんの育児の合間に相手をするのは、相当の苦行です。
また、反抗期というのは実は延々と続くもの。
幼稚園に入園したころにも反抗期がやってくる子供もいて、小学校に上がれば今度は中間反抗期がやってきます。
このように、子供は常に親から自立するために反抗するものです。
赤ちゃんにママを取られた嫉妬心が重なって、さらに反抗がひどく出ることもあります。
それを1日中相手にするママは、上の子にイライラしたり可愛くないと思ってしまっても当然です。
産後、上の子へのイライラと上手く付き合うポイント
上の子に対してイライラしたり、可愛くないと思ってしまうのはもはや仕方がないこと。
だからと言ってこの感情のまま突っ走ってはいけないし、上の子への接し方は注意しなければなりません。
では、このような状況に陥ったときに心得るべきポイントとはどんなことでしょうか。
1. 自分の気持を肯定する
上の子可愛くない症候群に陥っているときは、何をしてもダメです。
どうしてもイライラするんです。
症候群とまで言われるくらいですから、当然のことなのだと受け入れましょう。
ダメな母親、母親失格などと否定的に考えてしまうことで、余計精神的に追い詰められて怒りや不安、イライラが増幅します。
そしてまた、上の子にそのストレスの矛先が向けられてしまいます。
自分を責めることは、上の子を責めることと同じだと思ってください。
まずは、自分にちゃんと言い訳をして、頑張っていることを認めましょう。
- 家事がつらい
- 上の子と下の子同時に泣くのがつらい
- 上の子がずっと話しかけてきてうるさい
- やろうと思っていた用事ができなかった
- おもちゃが散らかっていて落ち着かない
2人目育児を始めてつらいと思うことを、全部吐き出しましょう。
それはすべて事実であり、あなたが頑張っている証拠です。
しんどいんだ!と声を大にして言いましょう。
上の子への不満も同じく、はっきり吐き出しましょう。
もちろん誰かに相談してもいいし、育児日記などに書き出す方法でもいいと思います。
2. 上の子の気持ちを考える
どうしても親は大人目線になってしまうので、
「なぜ?私を困らせるの?」
「なんで何度言ってもできないの?」
とイライラしてしまいがちです。
そこで、ちょっと落ち着ける状況のときに上の子目線になってみましょう。
私たち大人は、赤ちゃんが生まれてくる意味や兄弟の必要性などを理屈で知っています。
でも、子供は違います。
ある日突然ママのお腹が大きくなりだして、家族のみんなが自分以外の子供の話をしだす。
そして突然ママがいなくなって、やっと帰ってきたら赤ちゃんを抱いている。
下の子は、そこにただ寝ているだけでかわいいと言われ、いつも抱っこ。
でも自分は、早く行動しないと怒られるし、こぼしたり倒したりしたら怒られる。
もうなんだか分からないけど、
赤ちゃんがむかつく!ずるい!
でも、その感情を出すとさらにママはイライラして…という悪循環。
つまり、上の子だってどうしたらいいか悩んでいるのではないでしょうか?
弟や妹を可愛がることがいいことだ、と教えられているし理解しています。
でも、正直な感情は教科書通りとはいきません。
ママの手間を取らせたり、なんとなくイライラしたり泣きたくなったり。
大人だって説明のつかない情緒不安に陥ることがあるのですから、未熟な子供はもっともっと複雑な心をしているのではないでしょうか。
3. できる範囲のスキンシップをとる
口を開くと注意や文句ばかりになってしまう状況のときは、もう何も言わなくていいです。
同じ空間に一緒にいるだけでも上出来としましょう。
そして、何も言わない代わりにできる範囲のスキンシップをとってみてください。
抱きしめるのが無理なら、手をつなぐだけでもいいです。
頭をそっと撫でるだけでもいいです。
上の子が起きているときが無理なら、眠っているときに抱きしめてあげてください。
「スキンシップが大事です」なんてことは、もう分かり切ったことです。
その方法は、どんな方法でもいいのです。
とにかく
「今はどうしてもイライラしてしまうんだけど、あなたのことを大事に思っている」
ということを、何とか伝えられれば上出来なのではないでしょうか。
4. 平等を意識しすぎないこと
可愛いと思うことに義務感を持つのはやめましょう。
上の子と下の子を平等に接するということは、同じような接し方をしなければならないということではありません。
年齢が違うので、それぞれ違った対応をするのは当たり前です。
「可愛がらなきゃ」
「スキンシップしなきゃ」
と思えば思うほどできなくなってしまうものですから、違ったコミュニケーションの取り方を考えましょう。
例えばいつもは話さないような話題を振るとか、絵本を読んで一緒に笑うなど。
赤ちゃんとは全く別のアプローチでコミュニケーションをとることに、考えをシフトしていくことも大事ではないでしょうか。
5. 誰かに預けて離れることも必要
上の子につらく当たってしまうことを抑えられない場合は、可能なら誰かに上の子を預けてください。
おじいちゃんおばあちゃんや夫など、信頼できる人に預けてみてください。
“ママと離れてさみしい思いをさせるのは、上の子にさらなるストレスを与えるのでは?”
と思うかもしれません。
しかし、つらく当たるよりは別々に過ごしたほうが絶対にいいはずです。
- つい子供のやることにカッとなってしまう
- やることなすこと全て気に障る
- イライラが止まらずヒステリーを起こしてしまう
こんな状態が続くなら、無理して一緒にいない方がいいです。
冒頭でお話ししたように、上の子可愛くない症候群は育児ノイローゼの一種とも言われています。
身内や信頼のおける人に、SOSを出して助けてもらうことも時には必要ではないでしょうか。
預ける人がいないなら、安全な別室で子供を遊ばせたり、DVDを見せたりして、ママは他の部屋に避難してもいいと思います。
(私は預ける人がいないので、頭に血がのぼるときは別室で休むようにしていました。)
上の子にイライラするのはいつまで続く?
上の子へのイライラはいつまで続くかというのは個人差も大きいです。
産後数カ月間だけの人もいれば、何年も続く人もいます。
ただし、落ち着くポイントはいくつかあります。
1. 上の子の赤ちゃん返りが落ち着いたころ
上の子の赤ちゃん返りも、ずっとは続きません。
一時的にひどくなっても、しばらくすれば落ち着くものです。
そうすると、上の子もまた一皮むけてしっかりした様子がみられるようになり、ママの気持も落ち着いてくるでしょう。
産後数カ月は上の子も赤ちゃんと一緒の生活に、早く慣れようと必死なときです。
しばらくは気持ちを割り切って時が過ぎるのを待つのもひとつの方法です。
2. 下の子に自我が芽生えてきたころ
今まで可愛いばかりだった下の子も、成長ともにだんだん手がかかりだしてママの手を煩わせる立場になってきます。
そうすると、不思議と今度は上の子が頼もしく見えてくることも。
下の子に自我が芽生えてイヤイヤを発揮したり、上の子に八つ当たりしたりなどと言うことも出てきます。
こうなると上も下も平等に叱ったり怒ったりする機会が増えるため、上の子の気持ちも落ち着きます。
3. 兄弟が関わり合って遊べるようになるころ
兄弟が一緒になって遊んでくれるようになると、上の子も下の子も同じように可愛いわが子だという感覚が強くなります。
今まではそれぞれが別の行動をしていたので、それに合わせるママの立場も大変でしたよね。
でも、ふたりが一緒になって遊んでくれるとママも助かるし、上の子に対する感謝の気持ちさえ湧いてきます。
ケンカなどの新しい問題も勃発しはじめますが、下の子の成長を待つことがいちばんの解決策なのではないでしょうか。
上の子を尊重することの大切さとは?
私は、5歳違いの男の子2人を育てています。
産後すぐは、上の子のストレスがひどくて本当に手を焼きました。
上の子を可愛いと思えないのは、2年以上続いたでしょうか。
感情の波はあるものの、正直一時は
「上の子の目を見られない」
というレベルに達したこともあります。
顔を見ただけで文句や不満が湧いてくるのです。
自分の大切な子供に対してこんな感情が湧いてしまう、そんな自分を軽蔑して毎日自己嫌悪に陥りました。
うちの場合、5歳も離れているので物理的に下の子が可愛いのは当然です。
上の子は特に不器用な性格なので、甘えたい欲求や言いたいことをストレートに表現できず、逆に私の怒りを買うようなことを言ったりやったりするタイプでした。
夫もこの時期しばらく体調を崩していて、育児も家事も全て私ひとりでやっていました。
色々な要因が重なって、そのストレスの矛先が上の子に向いてしまっていたのかもしれません。
イライラして上の子にガミガミ言ってしまったことを、毎日寝る前に後悔します。
また次の日の朝、今日こそ上の子に優しく接しようと決意します。
でも結局思うようにできず、感情がコントロールできない。
このまま一生可愛いと思えなくなるのでは…という不安と恐怖さえありました。
しかし、ある日掛かりつけの小児科に行ったときに、うちの子供たちの様子をみた先生が驚くべき言葉をかけてくれました。
このとき、上の子は下の子に「ほらお腹だして」とか「注射はしないから平気だよ」などと言い聞かせて世話を焼いていたんですね。
すると先生が
「お兄ちゃんに、お母さんの愛情がちゃんと伝わってる証拠だよ。
こうやって下の子の世話を焼く子は、満たされてる証拠なんだよ。」
と言ってくださったのです。
上の子が可愛がれずイライラして目も合わせられなかった私。
それでもちゃんと愛情が伝わっていたのかと思うと、心底ほっとしました。
この記事を真剣に読んでくださっているあなたは、きっと大丈夫です。
上の子に対して申し訳ない、もっとちゃんと愛情を伝えたいという気持ちはきっと伝わっていると思います。
いちばん厄介なのは、「親が子供の気持ちに気付かない」「サインを見逃している」場合です。
あなたはちゃんと、上の子がさみしがっていることや我慢していることを知っています。
だから、できるときにできることをやってあげさえすれば大丈夫です。
上の子に優しくできないのは一時のことです。
長い場合数年続くかもしれませんが、それにも波があり、上手くやれるときとそうでないときがあります。
優しくできなかったときはあとでフォローをするとか、子供の好きな料理を作るとか、別の形で上の子への愛を表現してあげましょう。
さいごに
産後はただでさえメンタルバランスが崩れやすく、慣れない生活に戸惑っているときです。
上の子にイライラするのは仕方がないと、自分の素直な気持ちを認めてあげることも大事です。
また上の子へ今のネガティブな感情はずっと続きません。
子供たちがそれぞれ成長すれば、徐々にその差が縮まってバランスが保てるようになってきます。
できるときに、できる範囲の愛情表現をしてあげれば、ママの本心はきっと伝わっていくのではないでしょうか。
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