ドイツ料理といえば、ソーセージにジャガイモ料理が有名ですが、ドイツにもおいしいスイーツがあります。
ドイツ人はビール好きで、甘いものも大好き!
日曜日のお茶の時間は欠かせません。
夕方になると、コーヒーかお茶に、ケーキを1つ。
そんな習慣があります。
ドイツのケーキは、日本の和菓子やフランス系の洋菓子に比べると、ずっしりとお腹にくる、しっかりとしたお味。
そして何よりもその大きさに驚かれるでしょう。
ドイツのケーキは、日本のケーキの2倍の大きさといっても過言ではありません。
それでは、これからドイツのスイーツの中でも、ケーキ探訪の旅へと出かけましょう。
【ケーキ編】
ドイツのケーキ屋さんに行ったら、どのケーキにするか迷ってしまうはず。
クリームがのっているもの、それとも果物がたっぷり?
あら、お野菜の入ったケーキもある!
そう、ヘルシー嗜好のお菓子好きも心を躍らせる、そんなラインナップが揃っています。
[シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ]
ドイツを代表するケーキといったら、こちら「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(Schwarzwälder Kirschtorte)」です。
直訳すると、「黒い森のさくらんぼのケーキ」という意味です。
「黒い森」とは、ドイツ南西部に「黒い森」という名前の大きな森のことです。
その一帯を黒い森地方、ドイツ語でシュヴァルツヴェルダー地方と呼びます。
その地方の特産物であるチェリー酒を使ったケーキなので、この名がつけられました。
ココアのスポンジに、チェリー酒キルシュヴァッサーをふりかけ、あいだには生クリームとさくらんぼを挟みこみます。
最後、表面には、細かく削ったチョコレートを飾るのがお決まりです。
今では、どの町のどのケーキ屋さんでも見つけられると言っていいこのケーキは、1930年代に全国的に広まりました。
チョコレートが大好きなドイツ人に、生クリームの贅沢さ。
そこにチェリー酒が添えられて、ドイツ人のツボを突いたかのような黄金律のケーキ。
このボリューム感も、ドイツらしいスイーツです。
[シュトロイゼルクーヘン]
こちらもドイツでおなじみのケーキ「シュトロイゼルクーヘン(Schtreuselkuchen)」。
「シュトロイゼル」とは、ケーキの上を飾るバター、砂糖、小麦粉でできたクランブルのこと。
その下には、しっかりめに焼き上げたスポンジに、甘酸っぱく煮た果物やカスタードクリームが挟み込まれます。
焼きあがったクランブルがクリスピーで、そのさくさくとした食感が嬉しい「シュトロイゼルクーヘン」は、人気があります。
[りんごのケーキ]
ドイツでりんごのケーキと言えば、二種類あります。
1つは、名前はそのまま、りんごのケーキという意味の「アプフェルクーヘン(Apfelkuchen)」。
やわらかいスポンジの上に、刻んだりんごを乗せて焼いたシンプルなケーキ。
その素朴の味わいは、飽きのこない定番ケーキといえるでしょう。
[アプフェルシュトロイデル]
もう1つのりんごのケーキが「アプフェルシュトロイデル(Apfelstrudel)」で、薄い生地にりんごを包んだケーキです。
ドイツに限らず、オーストリアやスイスなどドイツ語圏で、お茶の時間や食後のデザートとしても人気です。
クレープのような薄い生地で包まれたりんごの甘酸っぱさを堪能できる、口当たりのやさしいケーキ。
カフェやレストランでは、アイスクリームや生クリームが添えられてくることも多いでしょう。
[キャロットケーキ]
お野菜入りのケーキで定番といえば「キャロットケーキ(Möhrenkuchen)」です。
薄力粉と強力粉を混ぜ合わせたしっかり目の生地に、アーモンドパウダーやウォールナッツ、それにメインのにんじんも加えて焼き上げたケーキです。
口当たりもしっかり目、お味も濃厚。
甘さと香ばしさ、そして少し重めの味わいが、ドイツらしいキャロットケーキです。
[ケーゼトルテ]
ドイツのチーズケーキ「ケーゼトルテ(Käsetorte)」。
これも一度味わっていただきたいケーキです。
私たちが知っているチーズケーキとは、ちょっと違います。
使われているチーズが、ドイツでヨーグルトのようなクリーミーな味わいのクワークです。
そのためチーズの濃厚さがありながら、軽い口当たりのケーキに仕上がっています。
チーズケーキにヨーグルト風味を添えたような味わいといっていいかもしれません。
ケーキ屋さんやパン屋さんなど、いろんなところで見かけることができる、ドイツでポピュラーなケーキの1つです。
[ドナウヴェレ]
チョコレート大好き、濃厚なお味が大好きなドイツ人のためのケーキ「ドナウヴェレ(Donauwelle)」。
直訳すれば、「ドナウの波」となります。
切ったときに、ドナウ川のさざ波のような模様が現れるので、「ドナウヴェレ」と名づけられました。
プレーン生地にココア生地、そしてチェリーを入れて、この模様を作り出します。
バタークリームとチョコレートでコーティングしたケーキの上部にも、波型が描かれます。
濃い目の味がお好きなら、一度は試していただきたいケーキ「ドナウヴェレ」です。
[ビーネンシュティッヒ]
こちらもドイツで定番のケーキ「ビーネンシュティッヒ(Bienenstich)」です。
「蜂の一刺し」なんて変わった名前がついています。
その由来は古く、15世紀のドイツ、ライン川沿いにあるリンツという町で、二人のパン屋の見習い職人が城壁沿いに蜂の巣を見つけます。
ちょうどそのとき、敵が襲ってきたので、その蜂の巣を敵に投げつけると、敵は蜂に襲われて逃げていきました。
その記念として、このケーキが作られたと、言われています。
「ビーネンシュティッヒ」は、イースト生地の表面に、スライスしたアーモンドをキャラメルで固めてこんがりと焼いたケーキです。
バターと生クリームでできたバタークリームを挟み込んでいます。
表面のカリカリした香ばしさと、ふんわりしたバタークリームの相性は絶妙。
コーヒーでも紅茶でも、どちらにも合うおいしさです。
【ちょっとブレイク:ドイツで有名なコーヒー】
ドイツ人はビール好きで知られていますが、コーヒーの消費量もなかなかのもの。
コーヒー好きな国民といっていいでしょう。
そんなドイツで有名なコーヒーメーカーは、「ダルマイヤー(Dallmayr)」。
食料品を扱う店なら、必ず置いてあるコーヒーです。
香り高く、味は濃厚です。
元来ドリップ式で飲まれていたコーヒーで、年配の方は、今でもそのままで飲むことが好まれます。
[メリタ]
ところで、ペーパードリップはドイツで生まれたのをご存知ですか。
ペーパードリップで有名なメーカーが「メリタ」です。
ドイツの都市ドレスデンに住むドイツ人のメリタ・ベンツによって発案された飲み方を採用したのが始まりです。
ご主人のために、おいしいコーヒーをいれようと、試行錯誤の末、紙で濾す方法を思いついたのだそうです。
[ミルクカフェ]
若い世代では、外国からの影響で、カフェラテやカプチーノが人気があり、「ミルヒカフェ(Milchkaffee)」というドイツらしい飲み方もあります。
「牛乳コーヒー」という意味ですが、ドリップ式のコーヒーを使うので、カフェオレと似ています。
カフェオレと違うところは、泡立てたミルクを使うところです。
とても優しいお味のコーヒーです。
【ちょっと変わったドイツのケーキ】
[モーンクーヘン]
この見た目のインパクトが大きい真っ黒なケーキ。
この正体は、ケーキに入れられた「モーン」、つまりケシの実です。
ケシの実を粉にして、砂糖やバター、ミルクなどで練ったフィリングをぎっしりと詰め込んだのが「モーンクーヘン(Mohnkuchen)」。
ケシの実のプチプチとした食感を楽しみながら食べるケーキで、羊羹を食べるようなずっしり感があります。
ドイツ以外でも、ポーランドやチェコ、ハンガリーなど、家庭で焼かれているケーキです。
インパクトのある見た目とは裏腹に、素朴な味わい。
家庭の温かさを感じるケーキです。
[ラバーバ入りのケーキ]
春から初夏にかけて八百屋の店先に並ぶ「ラバーバ(Rhabarber)」。
日本ではめったに見かけない野菜です。
このセロリにも似た野菜は、このままでは食べられないので、煮るとその赤さが一層増します。
とても酸っぱいので、肉料理のソースなどに使われます。
また砂糖をたっぷり入れて、煮詰めてジャムにしたりジュースを作ります。
そのラバーバのコンポートを使ってタルトにしたのが、ラバーバ入りのケーキです。
「ラバーバクーヘン」
ドイツならではといえる「ラバーバクーヘン」ですが、そのお味は酸っぱくなく、甘さしっかり出ています。
あの酸っぱいラバーバにどれだけ砂糖を入れればこんなに甘くなるのか・・・
考えないほうがいいでしょう。
[プラム入りケーキ]
ドライフルーツとしてのプルーンは、おなじみですよね。
ねちゃっとした食感に、酸っぱいお味です。
ドイツでは、ドライではない生のプルーンを使って、ケーキを作ります。
プルーンの収穫時期は夏の終わりから秋にかけての、たったの数週間ほど。
その時期にだけお目見えするケーキは、その旬を味わうケーキなのです。
ドイツ語で、「プフラウメンクーヘン(Pflaumenkuchen)」、または「ツヴェットシュゲンクーヘン(Zwetschgenkuchen)」といいます。
タルトやスポンジではなくて、薄く延ばした甘めのパン生地に、プルーンを乗せて焼きます。
プルーンの上に、クランブルを乗せることもあります。
そのお味は、一言、酸っぱい。
甘いケーキを期待していたら、ショックを受けるお味でしょう。
甘いものが大好きなドイツ人でも、旬を味わうためならと、必ずプルーンの収穫時期に店頭に並ぶ「プフラウメンクーヘン」。
年に一回の行事だと思って、お一ついかがですか。
【他のケーキとは別格 バウムクーヘン】
最後に登場は、日本でおなじみの「バウムクーヘン(Baumkuchen)」です。
輪切りにすると樹木の年輪の模様のように見える「バウムクーヘン」。
「バウム」が「木」、「クーヘン」が「ケーキ」を意味しています。
ドイツ生まれのこのケーキ、日本でこんなに有名なのだから、ドイツでもさぞかし好まれるだろうと思われるかもしれません。
でも、実は、違います。
町角のケーキ屋さんやパン屋さんで、バウムクーヘンを見たことはありません。
スーパーで売られていますが、残念ながら、売れ筋商品とは言えないようです。
「バウムクーヘン」を知らないドイツ人もいるほどです。
ドイツを代表するケーキとは、きっとドイツ人は言わないでしょう。
なぜならこのケーキの作り方が特殊なため、高級菓子として扱われているからです。
[バウムクーヘンの歴史]
日本でドイツの代名詞とも名高い「バウムクーヘン」ですが、発祥の地ははっきり分かりません。
15世紀のイタリアの料理本に、初めてそのレシピが紹介されました。
ドイツではその後100年以上してから、あるドイツ人コックの料理本にレシピが載っています。
日本に「バームクーヘン」が伝わったのは、比較的早い時期です。
ドイツの菓子職人カール・ユーハイムが、世界第一次大戦中に捕虜として拘束された後、そのまま日本に残ります。
そして神戸の製菓会社ユーハイムの前身となるカフェ「JUCHHEIM’S」をオープンしました。
そこで「バームクーヘン」を作ったのが始まりです。
「バームクーヘン」だけではなくて、マロングラッセもユーハイムが日本で初めて販売しました。
[本場ドイツで、バウムクーヘンを買おう!]
高級菓子の「バウムクーヘン」は、クリスマスなどのお祝いの贈答用としても購入されるケーキです。
そのため「バウムクーヘン」を買うためには、王手のデパートや専門店に行くことになります。
ドレスデンとミュンヘンに2店舗かまえる「クロイツカム(Kreutzkamm)」(写真上)。
デュッセルドルフに本店があり、全国展開をする「ハイネマン(Heinemann)」。
ドイツ北部オシュナブリュックを拠点にするのは、「ライジーファー(Leysieffer)」が、「バウムクーヘン」を取り扱うお店として有名です。
空港のお土産売り場にもあるかもしれませんので、チェックしてみるといいでしょう。
【ボリュームたっぷりドイツのケーキを召し上がれ!】
ドイツのケーキをご紹介しましたが、いかがでしたか。
バラエティに富んで、なかなか食べ応えのありそうなラインナップだったかと思います。
もしもドイツに行く機会があれば、ぜひカフェやケーキ屋さんにお立ち寄りください。