産後、旦那さんを嫌いになる。
旦那さんの顔も見たくなくなる。
そんな声を聞くことは珍しいことではなくなりました。
父と母になれば、当然昔のような恋人同士の関係ではなくなります。
しかし相手を嫌いになってしまっては、この先の子育て・人生こそが危ぶまれることに。
夫婦仲の良し悪しは、子育てに多大な影響を与えると言われています。
産まれてきた最愛の赤ちゃんのためにも、夫婦関係を早い段階で修復しなければなりません。
この記事では、産後ママが旦那さんを嫌いになってしまう根本的な原因を、妊娠中までさかのぼって分析してまとめています。
改善方法や、夫婦の歩み寄り方なども参考にしていただければと思います。
3人に1人の女性が、産後に旦那さんを嫌いになってしまう!
現代女性の3人に1人は、出産を機に旦那さんのことが嫌いになってしまうと言われています。
いくら大恋愛の末に結婚しても、産後の気持ちのすれ違いをごまかすことはできません。
幸せへの第一歩であるはずの出産は、一歩間違うと夫婦のすれ違いが起こる原因、さらには離婚のきっかけにも発展してしまうことがあるのです。
というのも、産後1カ月の間に奥さんが旦那さんに対して不満を持つと、そのわだかまりが一生続くと言われているため。
昔から「産後の恨みは一生」という言葉があるように、産後に受けたショックや心の違和感は、簡単にはなくならなりません。
産後に関係がこじれた夫婦が長年不仲な関係を続け、熟年離婚するケースも実際にあるのです。
いったいなぜ産後は、こんなにも夫婦関係が悪化しやすくなってしまうのでしょうか?
旦那さんが嫌いになる、産後クライシスとは?
産後クライシスとは、産後すぐから2~3年の間に夫婦関係が急激に悪化してしまうことをいいます。
産後クライシスという言葉そのものは、NHKの朝の情報番組「あさイチ」の中で造られた言葉です。
昔から、産後急激に夫婦仲が悪化してしまう事例は少なくありませんでした。
2012年、NHKの人気番組「あさイチ」が特集を組んで取り上げ、問題提起したことがきっかけで世間に広く認知されるワードとなったのです。
産後クライシスの原因は、一つではなく体・心・環境・旦那さんとの関係など様々なことがあげられます。
産後クライシスの要因
1. 避けて通れないホルモンの影響
妊娠の継続には、エストロゲン・プロゲステロンなどの女性ホルモンが欠かせません。
特にエストロゲンは卵巣から分泌される量では足りないので、胎盤からもどんどん分泌されていきます。
妊娠中は、妊娠前のおよそ50倍から100倍ほどエストロゲンが分泌された状態になっています。
しかし出産すると胎盤はすぐに取り出され、体からのホルモン分泌も急激に減少。
50~100倍のエストロゲンが一気に体からなくなるわけですから、自律神経や精神状態のバランスが大きく崩れるのは当然のこと。
またエストロゲンは、幸福ホルモンである「セロトニン」の働きを活発にする役割を持っています。
出産後エストロゲンが急激に減ると、それと同時にセロトニンの働きも一気に弱くなります。
精神的に不安定になったり、イライラして攻撃的になったりするのはもはや当然のことと言えるでしょう。
2. 旦那さんの認識不足
産後の女性ホルモンの変化についてお話ししましたが、この事実を知っている旦那さんは世間にいったいどのくらいいるでしょうか?
これだけ世間で「産後クライシス」「産後うつ」などのワードが注目されていながら、具体的な理由や産後の女性の体の仕組みについて知っている男性は、ものすごく少ないのではないでしょうか。
また妊娠中のサポートよりも産後のサポートの方が重要だ、ということを知らない人は多いもの。
例え女性でも、
「産後の生活や育児がこんなに大変だなんて、思ってもみなかった。」
と感じたことがあるのではないでしょうか。
男性は出産に立ち会うことより、産後の女性の生活に密着することの方がよっぽど大切な経験だと感じます。
決して、旦那さんの認識不足を責めるべきということではありません。
知識も認識もなさすぎるため、女性が突然変化した様子を目の当たりにして
「女は出産すると変わってしまう。」
「結婚生活、こんなはずじゃなかった。」
という悲観的な思考になっていきます。
すると旦那さんは奥さんに対して歩み寄ろうとしなくなりますし、家事・育児にも消極的になる。
言わば、あきらめているという状況になりやすいのです。
そんな旦那さんに対して奥さんは
「男は何にも分かってくれない。」
「父親として、旦那としての自覚がまるでない。」
「産後、旦那のことが嫌いになった。」
とさらに不満に思い、根に持ちます。
そもそも自分自身が産後の体の変化や育児に対する不安を抱えているので、問題点や不安が多すぎて整理できない状態になっていることも。
これでは、2本の線は交わるどころかどんどん離れていくばかりです。
3.我慢ばかりするようになる
夫婦、そして親になったのだから、少しのことで文句を言ってはいけない。
そう思っていませんか?
少しくらいの不満や要望があっても、それを我慢してゆずるのが大人だ。
この思考は産後クライシスに拍車をかけます。
これは、旦那さんでも奥さんでもどちらにも言えることです。
我慢は便秘と一緒です。
我慢が溜まれば溜まるほど、毒素が充満して処理できなくなります。
結局最後は、何かしらの方法でその毒を出さなければ解決しないのです。
産後、夫婦仲を改善するための対処法は?
1. 旦那さんの身になってみる
何より大事なのは、旦那さんにもっと女性と出産・育児のことを知ってもらうこと。
女性はホルモンの変化の影響のことや、妊娠・出産の知識が男性よりも豊富です。
産まれたときから女なので、自分の体に起きているすべてのことに実感が伴います。
しかし男性は別の生き物なので、はっきり言ってほぼ「無知」です。
その差は、生まれたときからテニスの英才教育を受けて育った錦織選手と、先週初めてテニス用品を揃えた初心者テニスサークルの会員と同じです。
錦織選手が初心者に対して
「感覚で分かるよね?」
「察して。」
と言うのはおかしい話です。
自分が知り尽していることも、相手にとっては未知の世界。
どうしても自分が知り尽くしていることは、相手にもそれなりに認識があるものだと思ってしまいがちです。
しかし旦那さんにしてみると妊娠~出産、さらに育児に関しても、どこかまだ現実味を帯びていないもの。
それは旦那さんが悪なのではなく、当然のことだと理解してあげることも必要です。
言ってあげなければ分からないことや、教えてあげなければできないことの方が多いのは仕方がないことなのです。
面倒かもしれませんが、子供に指導するのと同じように一から説明することも時には必要でしょう。
本来ならば産前から準備して話し合っておくべきですが、実際に生活がスタートしてみなければ分からないことばかり。
その都度話し合い、女性が主体となって教えていくしか方法はありません。
2. 他の家庭の旦那さんと比べない
世の中はイクメンブームを通り越し、イクメンが標準装備になっています。
家事も育児も積極的にやる旦那さんが現代の平均点になっていて、もはや褒めるべきことではないとも言われています。
しかし、これも実際当てになりません。
家事は女性のやることと思っている男性はまだまだ多いし、赤ちゃんのうんちのおむつを替えられない旦那さんも大勢います。
それも、普通なのです。
旦那さんに対する愚痴や悩みが、全くない女性はいません。
どんなに幸せそうに見える家庭にも、不満や問題点は多かれ少なかれあるものです。
「世の中の父親はみんなイクメンなのに、うちの旦那は本当に何もしなくて……。」
これは間違った思い込みで、平均点はそれぞれの家庭の中で決めるもの。
世間一般的に見て、ではなく“自分が選んだ人の平均点”を決めましょう。
他所の家庭との比較は自分の首を絞めるだけです。
3. 包み隠さず話し合う
言っても伝わらないからと我慢したり、あきらめたりするのは関係をこじらせる一番の要因です。
すれ違いが生まれるのはここからです。
泣きながら、怒りながらでも良いので、自分の気持を全て話す機会を設けましょう。
それができなければ、手紙やノートに書く。
もしくは日記を書いて、目に付く場所に置きっぱなしたふりをしてみるとか。
どんな方法でもいいので、旦那さんに自分が思っていることや事実を伝えなければなりません。
おそらく旦那さんも、できることなら奥さんとの関係を修復したいと思っているはずです。
夫婦仲や雰囲気の悪い家庭でも構わないと思う人なんていませんよね。
あなたが真剣に「関係をよくしたい」と訴えれば、旦那さんも応えてくれるかもしれません。
どちらかが歩み寄れば、話し合いのきっかけは作れるはずです。
4. 言葉の選び方
旦那さんのことが嫌いになりかけているとき、どうしても攻撃的な発言をしたり嫌味なことを言ってしまったりするでしょう。
でも、これでは一向に2本の線が交わらず離れていきます。
そこで効果的なのは攻撃ではなく、言葉の選び方を変えることです。
「私はこんなにしんどいんだから、もうちょっと気を遣ってよ!」
と攻撃するのは逆効果です。
「しんどいから、あなたにもっと頼りたい。」
と言われる方が旦那さんとしては嬉しいはずです。
旦那さんのことが嫌いになりかけているときは、少々ハードルが高いかもしれませんが
言葉や態度で
「愛情」や「信頼」
を示すことで、旦那さん側からも歩み寄ってくれる可能性は高くなります。
「あなたと結婚したのは間違いだった……。」
と言われるのと
「あなたとの結婚を後悔したくない……。」
と言われるのでは雲泥の差。
伝え方や言葉の選び方次第で、人の反応はおもしろいほど変わります。
夫婦仲の悪さや夫婦ゲンカが子供に与える影響とは?
夫婦仲の悪さは、子供の成長に直接的に影響します。
・いつも両親が口喧嘩をしている
・家族内での会話が少なくなる
・険悪な雰囲気になることがある
・両親のどちらかが権力を振りかざす
このように夫婦仲に問題がある家庭の中は、子供から見て不安なことがいっぱいです。
不安になることや動揺することが増えるため、勉強・遊び・会話など様々なことに集中しにくくなります。
子供はいつも、両親の話に耳を傾けているもの。
大人は
「遊んでいるから聞いていないだろう。」
「まだ意味が理解できないだろう。」
そう思ってしまいがちですが、子供は不穏な空気を敏感に感じ取っています。
このような家庭で育つ子供は、そのうち家庭の中でのびのびとありのままで過ごすことができなくなります。
その結果…
- 両親の仲を取り持ったり仲裁に入ったりする
- バカなことを言ったりやったりして家族を笑わせようとする
- 両親のケンカが始まると隠れるようになる
- 母親の慰め役、励まし役になる
親の機嫌をとり、家庭の空気をよくするために、本来子供のやるべきことではない行動をとるようになります。
家庭という一番落ち着ける場所を、安心・安全な場所に整えてあげることは親の役目です。
そのためには、早い段階で夫婦仲を修復して明るい家庭を作るよう、夫婦で努力しなければならないのです。
この記事を読んでくださっている方はきっと
「旦那さんのことが嫌いになりかけているけど、このままじゃいけない!」
と思っているのではないでしょうか。
もうどうでもいい。
離婚すればいい。
このようにあきらめているわけではないと思います。
生まれてきた子供、そして何よりもあなたの人生の幸せのためにも、旦那さんとの関係を修復していく方法を考えてみてはいかがでしょうか。
さいごに
産後の生活がきっかけで、旦那さんのことが嫌いになってしまう原因と対処法を紹介しました。
人により事情や境遇は異なりますが、大切なことは…
- 認識を高めること
- 互いの気持ちを知り、考えること
- 話し合うこと
- 言葉や伝え方を工夫すること
相手を変えたいと思ったら、まず自分が変わってみることです。
少し努力するだけでも、今よりお互いの気持ちが近づくのではないでしょうか。