純白のウエディングドレスに気品と華を添える、ブライダルアクセサリー。
ブライダルアクセサリーの主役といえば、白いヴェールの上で清楚に輝く、ティアラなどのヘッドアクセサリーです。
人々がティアラを着用した歴史は古く、ティアラには伝統的なデザインが用いられています。
ブライダルアクセサリーとしてのティアラは、いつからどのようにして始まったのでしょうか?
ブライダル用として選ぶヘッドアクセサリーは、どんな種類があって、どれを選べば良いのでしょうか?
本場ヨーロッパでは、どんなティアラやブライダルアクセサリーに人気があるのでしょうか?
こちらでは、ヨーロッパで始まったティアラの歴史とブライダルアクセサリーとしての魅力から、現在イギリスで人気のティアラの種類までをご紹介していきます。
イギリスではヴィンテージのブライダルアクセサリーが人気
イギリスではここ数年、ヴィクトリア時代やアールデコ様式などといった、アンティークやヴィンテージスタイルのティアラをブライダルアクセサリーとして選ぶ花嫁が増えています。
なぜ、イギリスの花嫁たちは古いデザインのブライダルアクセサリーを選ぶのでしょうか?
それにはこんな理由があったのです。
ヨーロッパで始まったティアラの歴史は大変古く、デザインにもさまざまな歴史が刻まれています。
神話や花言葉などの意味が込められていたり、王族だけが着けていた歴史など、ティアラは高貴で神聖なイメージがあるのです。
現在ブライダルアクセサリーとして使われているティアラのことを良く知っておくために、ティアラの歴史を紐解いてみましょう。
王冠とティアラの歴史
古代ギリシャ・ローマ
ティアラや王冠の歴史は、古代ギリシャ・ローマ時代にまでさかのぼります。
ギリシャでは、古くから金銀細工師たちが巧みな技術で繊細な宝飾品を製作してきました。
当時の古代ギリシャ人たちは、ギリシャ神話の神が着けていた月桂樹の王冠をモチーフにした、ゴールドをリースのように細工したものを、ティアラや王冠として着用していました。
古代ローマにもこのスタイルは受け継がれますが、リースに代わって花冠のデザインが着用されるようになったのです。
古代ギリシャのティアラや王冠は、ゴールドのみで作られたシンプルなものでしたが、古代ローマ時代になると、王冠に宝石が配されるようになります。
ローマ皇帝の権力が拡大するにつれ、パールやダイヤモンド、サファイア、エメラルド、アメシストなど贅沢な宝石が使用されるようになり、ティアラのデザインも凝ったものへと変化しました。
イギリス
イギリスでブライダルアクセサリーとしてティアラなどのヘッドドレスを着用するようになったのは、15世紀後半になってからです。
しかし当時はそれほど一般的ではなく、本格的に人気に火が付いたのは18世紀の終わりごろでした。
当時のティアラは、古代ギリシャ・ローマ時代のデザインをモチーフにしたものが多く、ギリシャ神話の神が着けていた月桂樹の葉や、可憐な花のモチーフといったスタイルが20世紀前半まで流行しました。
現在の英国王室は世界中で最も多くティアラを所有していると言われています。
ほとんどが代々の女王から受け継いだもので、特にエリザベス女王の曾祖母にあたる、アレクサンドラ王妃が残したティアラが多いのだそうです。
フランス
19世紀のフランスでは、ナポレオン皇帝の戴冠式が行われ、国中に皇帝の名声と地位が大きく広がると同時に、華麗なファッションスタイルが大きな影響を与えることになったのです。
ナポレオン皇帝は、ティアラを絶対的な権威の象徴として、宮廷の女性たちにティアラの着用を命じました。
輝かしい宝石が配された煌くティアラは、額のやや下部分に着けることで、女性たちを神秘的な小鳥のように可憐に見せたそうです。
妻であるジョゼフィ―ヌ皇后もジュエリー史に残る美しいティアラを着用しており、アンティークカメオが配されたものなど、古来のデザインを取り入れた豪華な作品が製作されました。
ナポレオンの令によって女性たちがティアラを着用したフランスの宮廷文化は華やかさを極め、後のヨーロッパ各国の王室へも多大な影響を及ぼしたのです。
イギリス・ヴィクトリア時代でのティアラの意味
ヴィクトリア時代には、ティアラはデザインに隠された意味やメッセージがあるとされていました。
華やかに装飾されたティアラには、言葉に出来ない個人的でパワフルな愛のメッセージが込められており、配された宝石や花などのモチーフにも、それぞれがパートナーへの思いを込めた、特別な愛の言葉が秘められていたそうです。
ダイヤモンドは永遠の愛、ルビーは情熱、薔薇は愛情、デイジーは無垢…など、モチーフに込められた宝石言葉や花言葉を愛のメッセージとしてティアラに込めるという、ロマンティックな伝統があったのです。
19世紀前半に行われたヴィクトリア女王の戴冠式で、女王は豪華なティアラを着用しています。
アールデコ時代
20世紀初頭に流行した、幾何学的で対称的なデザイン様式です。
インドや中国、日本や中東、アフリカなどからインスピレーションを受けた、エキゾチックなデザインが特徴的で、ダイヤモンドを使用した大胆で芸術性の高いスタイルです。
1920年~30年代にはショートヘアに合わせた豪華なティアラが製作され、サイドにのみティアラが付いたカチューシャタイプも発表されます。
映画「華麗なるギャツビー」は、まさにアールデコ時代の全盛期を描いたストーリーなので、出演者たちが装う豪華なファッションやティアラから、当時の流行を知ることができます。
ブライダルアクセサリーとしてのティアラ
20世紀中期を過ぎると、ティアラはブライダルアクセサリーとして一般的に定着します。
王族の権威の象徴としてのパワーは減少し、ファッションとして用いられるようになりました。
しかし、ティアラ本来が持つロマンティックで優雅な雰囲気と、高貴な伝統は現在もそのまま受け継がれ、人生最大のイベントである結婚式で使用されているのです。
イギリスで人気のブライダルヘアアクセサリーの種類
イギリスの結婚式では、花嫁は輝かしいティアラなどのブライダル用ヘッドアクセサリーを着用するのが伝統です。
ブライダル専門店やブライダル用のヘッドアクセサリー店では、ティアラやヘッドバンドなどの多彩なアクセサリーのラインナップが揃っています。
こちらでは、イギリスで人気の高い、ブライダル用のヘッドアクセサリーの種類をご紹介していきます。
ティアラ
出典元:https://www.glitzysecrets.com/
ブライダルの定番アクセサリーであるティアラです。
多彩なデザインが発表されており、クラシカルな正統派から凝ったモチーフやビジューが散りばめられたものなど、選択肢が豊富です。
サイドティアラ(カチューシャ)
出典元:https://www.victoriamillesime.co.uk/
カチューシャのサイド部分にティアラのような装飾付けられたデザインで、花や植物のモチーフにパールやビジューが配され、横顔を華やかに演出します。
ヘアコーム
出典元:https://www.glitzysecrets.com/
ヘアコーム(櫛)に花のモチーフやパール、ビジューなどがあしらわれています。
デザインや大きさはさまざまなので、サイドに着けたり、シニヨンのトップに着けたりなど、違った着け方をアレンジできます。
ヘッドバンド
カチューシャタイプのヘアアクセサリーで、全体にビジューが配されています。
花や植物、リボンなどのモチーフや、カチューシャがダブルになったデザインなどがあり、全体的に細目のティアラといった印象です。
ボタニカル
出典元:https://www.infinityweddingflowers.co.uk/
古代ギリシャの王冠からヒントを得た、植物や花をモチーフにしたティアラです。
可憐なモチーフにパールやビジューがティアラ全体に配され、どの角度から見ても輝きがキラキラと煌きます。
羽根付きの髪飾り
出典元:https://www.glitzysecrets.com/
白鳥の羽根のような白い素材を髪飾りにしたもので、ブライダルにぴったりの清楚で無垢な印象が漂います。
パールやビジューが付いたものや、カチューシャになったものなどスタイルもさまざま。
ヘッドチェーン
出典元:https://www.glitzysecrets.com/
ビジューやパールを連ねたチェーン状のティアラで、1920年代に流行したスタイルです。
額の上でビジューが輝き、華やかな印象を与える上に、後ろのディテールにもこだわったスタイルが多く、白いヴェールを被るとより神秘的なイメージになります。
花冠
出典元:http://www.davidsbridal.com/
花のブーケを飾ったような、可憐でカラフルなティアラです。
花は白一色で揃えたり多色にするなど、大きさや花の種類もさまざま、ブーケの花と揃えるのも素敵ですね。
ヘアピン
出典元:https://www.brittenweddings.com/
シニヨンなどのまとめ髪を留めるヘアピンに、ビジューやモチーフがついたヘアアクセサリーです。
小ぶりなものから大きなモチーフ付きのものなどがあるので、ティアラのサイドに着けたり、編み込んだ髪にいくつか着けて全体を輝かしくデコレーションするなどアレンジが多彩です。
ヘアクリップ
出典元:http://www.weddingsflowersandgifts.co.uk/
ヘアクリップにモチーフやビジューが付いた、豪華な印象のヘアアクセサリーです。
クリップで髪を留めるだけなので着け外しが簡単、着ける場所も選べます。
デザインや大きさのバリエーションが豊富なので、サイドに着けたり、シニヨンのトップに着けたり、ダウンスタイルのアクセントにしたりなど着け方の幅も多彩です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ブライダルアクセサリーの主役である、ヘアアクセサリーの歴史や種類についてお伝えしました。
古代ギリシャで作られた月桂樹の王冠は、ローマ時代の権力とともに宝石があしらわれ、ナポレオン皇帝によってティアラの地位はヨーロッパ中に広がりました。
かつては王や王妃が権威の象徴として着用していた王冠やティアラですが、現在でも高貴な宝飾品として、大切な結婚式を彩るブライダルアクセサリーに使用されています。
特別な記念日を飾るヘアアクセサリーは、ウエディングドレスやブーケなど、全体のコーディネートをしっかり確認して、当日のヘアスタイルに合ったものを選ぶようにして下さいね。
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