ティファニー
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ニューヨークで雑貨を販売していたチャールズ・ティファニーが銀製品とジュエリー販売を開始、アメリカでダイヤモンドの新境地を開拓してきたブランドです。
【ティファニーの歴史】
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ティファニー社の創業は1837年、ニューヨークのマンハッタンにチャールズ・ルイス・ティファニーとジョン・B・ヤングのふたりが雑貨店「ティファニー・ヤング&エリス」をオープンしたことが始まりでした。
1845年には米国最初のメールオーダーカタログ「ブルーブック」を発行します。
1851年にはシルバー製品製造をスタートし、シルバーの純度基準を925/1000と設定、後にこれが米国公式基準として適用されます。
1853年には社名を「ティファニー&Co.」に変更、ルイス・ティファニーがジュエリー販売に力を入れ始めます。
本店のエントランスにはギリシャ神話の巨人アトラスが持つ大時計が置かれ、スイスの製造工場で腕時計の製造を始めます。
1878年に287カラットのイエロー・ダイヤモンドを購入、カットされた後にティファニー・ダイヤモンドとして有名になります。
1886年に、ダイヤモンドを6本の爪で高く持ち上げた「ティファニー・セッティング」を開発、婚約指輪の定番となります。
1902年、創業者チャールズ・ルイス・ティファニーが逝去し、息子であるルイス・カムフォート・ティファニーがブランド初のデザインディレクターに就任します。
同年、世界中を旅して新しい宝石を探していたティファニー社の宝石学者、ジョージ・クンツが発見した宝石が「クンツァイト」と命名されます。
1940年には現在も本店があるニューヨーク5番街7丁目に移転、60年代には映画「ティファニーで朝食を」が撮影されたことで観光名所となります。
1956年に伝説のデザイナー、ジーン・シュランバーゼーが参加、その後もエレサ・ペレッティやパロマ・ピカソなどをデザイナーとして迎えます。
この後も特許を得た「ルシダ」や「ルべドメタル」をはじめ、「ティファニーキー」や「ティファニーT」などといった人気ラインを発表し続けています。
【ティファニー・ブルー】
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ティファニーといえば、白いリボンのつけられた青色のギフトボックスとバッグをまず思い出しますよね。
気品のある淡いブルーにプリントされたティファニーのロゴの箱を受け取った瞬間は、特別に胸が高鳴る至福のひとときだと誰もが称賛します。
このブルー・ボックスを考案したのは、オーナーのチャールズ・ルイス・ティファニーでした。
ティファニー製品を購入した人だけに手渡せる、ブランド独自の特別なギフトボックス。
実は、この青色は1845年に発行されたメールオーダーカタログ「ブルーブック」の表紙に使われていた色だったのです。
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さわやかな青色はコマドリ(ロビン)の卵から着想を得たもので、特許を取得した「ティファニー・ブルー」は、ブランドをイメージするアイコンカラーとして定着しました。
ティファニー製品を購入した際に入れられる巾着、箱、バッグやカタログのほか、「ティファニー・ブルー・ホームアクセサリー」ラインでは、ティファニー・ブルー色のキッチンウエアから、バッグや財布、ステーショナリーなどの雑貨が揃っています。
【ティファニー・セッティング】
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1886年にティファニー社が発表した、革新的なダイヤモンドのセッティング方法です。
当時ダイヤモンドなどの宝石は、指輪の低い位置にセッティングされているのが一般的でした。
しかし従来のデザインでは、ダイヤモンドの本来の輝きや美しさを活かすことができない・・・そう考えたチャールズ・ルイス・ティファニーは、新しいセッティングの方法を生み出す研究を始めたのです。
それは、外部からの光をできるだけ吸収して、内部から美しい反射光とファイアーを発散させる方法。
以前のようにダイヤモンドを覆い隠すベゼルセッティングではなく、地金を最低限に抑えて宝石の本来持つ美しさを見せることはできないだろうか・・・。
長い研究の末に誕生したのが、6本の細い爪でダイヤモンドを高く持ち上げ、指の上で浮いているように見えるセッティング方法でした。
ダイヤモンドを高い位置で留め、6本の爪はダイヤモンドのサイドで一定の空間を開けておかれているVシェイプなので、ダイヤモンドをしっかりと支えます。
この方法はダイヤモンドが光をあらゆる角度から最大限に吸収し、さらに最高の反射光を発することが可能となったのです。
ひと粒ダイヤを高い位置に持ち上げることで、ダイヤモンドが大きく見える効果もあり、ソリティア・リングとしてたちまち注目を浴びることになりました。
このスタイルはやがて婚約指輪の定番となり、「ティファニー・セッティング」として世界中に知られることになりました。
【イエロー・ダイヤモンド】
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映画「ティファニーで朝食を」のオープニングで、オードリー・ヘプバーンがクロワッサンを片手にニューヨークのティファニー本店のウインドウをのぞき込むシーンは有名ですよね。
シックな装いのオードリーの姿が注目されると同時に、大きな話題となったのがティファニー本店です。
ニューヨーク5番街にある本店は映画の撮影にも使用されましたが、それ以上の注目を浴びたのが映画宣伝の写真でした。
撮影にはオードリーと、ティファニーを代表するイエロー・ダイヤモンドが使われました。
128カラットもあるファンシーイエローのダイヤモンドはリボン・ロゼットのネックレスのセンターとして大きく輝き、オードリーが黒いドレスに合わせてコーディネートした写真は世界中にセンセーションを巻き起こしました。
このダイヤモンドが発見されたのは1877年、南アフリカのキンバリー鉱山でした。
ティファニー社がイエローダイヤモンドを買い取り、23歳で入社間もない宝石学者のジョージ・F・クンツがカットを任されます。
287カラットという巨大な原石を、世界に誇る宝石としてカットするという重大な任務を任されたクンツ。
研究に1年の期間が費やされ、ついに合計82面のクッションカットが施された美しい宝石に仕上がりました。
通常より多いファセット面があるため、光を多く吸収して内部で炎が舞い上がるような色合いを見せる効果があるといわれています。
カットされたダイヤモンドは、ジーン・シュランバーゼーの手によってリボン・ロゼット・ネックレスになり、その次は「バードオンザロック」という名のブローチに生まれ変わります。
イエロー・ダイヤモンドの上に佇む鳥はプラチナとゴールドの地金にダイヤモンドが散りばめられ、目にはルビーが配されています。
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その後ブランド175周年記念を祝してダイヤモンドネックレスにセッティングされ、現在もニューヨーク本店に展示されています。
【ジャッキー・ブレスレット】
元アメリカ大統領夫人のジャクリーン・ケネディはティファニーの顧客で、特にジーン・シュランバーゼーがデザインしたものを好んで身につけていました。
ベリーがモチーフの可愛いブローチや、エナメルのブレスレットなど、大胆でカラフルなティファニージュエルを身につけて公の場に現れる姿が常に注目されていました。
ケネディ夫人が所有する数あるコレクションの中でも、特に有名なのが「ジャッキー・ブレスレット」と呼ばれる作品です。
ジーン・シュランバーゼーがデザインしたブレスレットは、19世紀の「Peillone」というエナメル技術を使用したもの。
薄い金の板を複雑な型に切り抜いてブレスレットに取り付けたあと、エナメル液に浸し、熱して仕上げるという高い技術と相当の時間が掛かるプロセスを要する技巧なのです。
ケネディ夫人は1962年にエナメル・ブレスレットを購入し、その後も異なる色のブレスレットを多数入手したそうです。
美しいエナメル・ブレスレットをつける姿は大統領夫人を象徴するものとなり、瞬く間に「ジャッキー・ブレスレット」と呼ばれて旋風を起こすことになったのです。
【歴代デザイナー】
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ティファニー社が素晴らしい宝飾品を発表し続けているのは、才能高きデザイナーたちが独自のスタイルを発揮して、革新的なジュエリーを誕生させているからなのです。
ブランドの長い歴史の中で、ジュエリー界に変革を引き起こした3人のデザイナーたちをご紹介して行きます。
(ルイス・カムフォート・ティファニー)
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創業者チャールズ・ルイス・ティファニーの息子でしたが、最初は宝飾店を引き継ぐ気はなく、パリで画家になるための勉強をしていました。
その後ガラス工芸をスタートし、米国アール・ヌーヴォーの第一人者の地位を築き上げます。
父の死後ティファニー社のデザインディレクター顧問に就任、ガラス工芸やステンドグラスなどの製作経験がジュエリーに活かされました。
モザイクにされた宝石やエナメルをふんだんに使用したカラフルな色調と、アール・ヌーヴォーの特徴的な植物や虫をモチーフにした芸術的作品を発表しています。
(ジーン・シュランバーゼー)
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1956年にティファニー社に参加した、ジュエリー界では伝説と呼ばれているデザイナーです。
1946年にパリで友人と共同でジュエリーサロンを経営していたジーンがティファニーに入社したことで、その見事な才能が発揮されることになるのです。
鳥や魚、植物など自然をモチーフにした立体的で色鮮やかなデザインのジュエリーはニューヨークセレブ達の注目を浴び、ケネディ夫人やエリザベス・テーラー、ヴォーグ誌の伝説の編集長ダイアナ・ヴリーランドらが顧客に名を連ねます。
イエロー・ダイヤモンドの「バードオンザロック」やティファニー・ブルーの「エッグチャーム」、上記の「ジャッキー・ブレスレット」、アイコン作品「16ストーンリング」など、多数の伝説的作品を誕生させています。
(エレサ・ペレッティ)
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イタリア・フィレンツエ出身のエレサ・ペレッティは、慈善家としても活動するデザイナーです。
ミラノでインテリアデザインを学んでいたエレサはバルセロナでファッションモデルとして活動、エージェンシーの勧めでニューヨークに渡り、モデル業とともにジュエリーデザインをスタート。
優れたデザインが数々の賞を受賞し、1974年にティファニーに参加します。
豆やリンゴなどの日常的なモチーフを、造形的なフォルムに作り替えたモダンなデザインはジュエリー界に革命を起こしました。
誰もが気軽に着けることのできるティファニーのシルバージュエリーとして、彼女の作品は世界中で注目されることになります。
代表的な「オープンハート」、豆のモチーフ「ビーンズ」、ひと粒ダイヤモンドの「バイザヤード」、日本伝統工芸を用いた「ラッカーバングル」、美しい曲線の「ボーンカフ」など、シンプルで官能的な作品が揃います。
(パロマ・ピカソ)
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画家ピカソの娘であるパロマ・ピカソは10代の頃からジュエリーデザインを開始、舞台衣装やジュエリーのデザイナーとして活躍し、イヴサンローランと契約した後に1980年からティファニー社に参加します。
パロマのデザインするジュエリーは大胆で大ぶりのものが特徴的。
水面に反射する光やオリーブの木など、身の回りにある自然からインスパイアされたという、まるで彼女自身を表現するような壮麗で明るいスタイルを生み出しています。
ジュエリーに使う色彩のトーンは柔らかでエキゾチック、優しい光が窓から差し込むような、静けさのある色調が印象的です。
代表作は、平和のシンボル鳩がモチーフの「ダブ」や「オリーブ」、ヴェニスのランタンがモチーフの「ヴェネチア」、揺れ動くリング「メロディー」、ニューヨークの落書きからヒントを得た「グラフィテイ」などが揃います。