母乳の分泌量や質をよくするためには、バランスのいい食事や健康的な食事を続けることが大事だという「常識」があります。
多くのママはこの常識を信じていると思いますが、実は食事が母乳に与える影響にははっきりとした医学的根拠がありません。
私自身2人の子供を育ててきて、産後母乳の出が悪いことですごく悩んだ経験があります。
食事は母乳の質を高め、分泌をよくするための基本中の基本というイメージがありました。
私だけでなく、多くのママが「母乳=食事が命!」って思っているのでは。
でもそれにはっきりとした医学的根拠がないなんて、びっくりじゃないですか!?
なんだか憤りを感じた私は、今回母乳と食事の関係を調査し、産後のママにより負担が少なく、良質な生活や育児をしてくためには、どんな食事を心がけたらよいかをまとめてみました!
母乳と食事の関係、実は医学的根拠がない!?
冒頭でもお話しした通り、食事が母乳の質や分泌量に影響を与えるという医学的なデータはありません。
つわりのメカニズムが解明されていないのと同じで、はっきりとした関連は認められていないのです。
揚げ物・スイーツ・お餅などの糖質や脂質の多いものを食べると、乳腺が詰まったり、胸が張りやすくなるというママもいますよね。
その一方で、何を食べても乳腺炎にはならないし、食事に一切気を使わないけど順調に母乳育児が進んだというママもいます。
母乳のトラブルがある人と、そうでない人の両方がいる。
これはつわりがある人と、ない人の両方がいるというの同じで、ほとんど体質なのでは?ということになります。
「〇〇を食べたら乳腺炎になった!」「〇〇を食べた後は赤ちゃんの飲みが悪い気がする…。」
というように、食べ物のせいで母乳に悪影響が出ている気がする、という思い込みの部分もないとは言い切れないわけです。
すると結果的に「脂っこいもの、糖質の多いものは乳腺炎の原因になる!」と言われるようになります。
産後のママは、忙しい育児の合間をぬって必死に和食を大量に作ったり、大好きな甘いものやこってりした食事を我慢したりするようになります。
これって、赤ちゃんのためを思ってやっていることなのに、本当に意味あるのかな??
そんな風に思えてきませんか?
そこで、考え方を変えて「母乳のために食事を制限する」のではなく
「産後のママが食事をもっと楽に、そしてもっと楽しめるようにする方法はないか?」ということを考えてみたいと思います。
母乳と食事に気をつかうことのメリット
母乳と食事に直接的な因果関係がなくても、健康的な食事をとることにデメリットはありません。
脂っこい料理や、脂肪分の多いスイーツは、妊娠中でも授乳中でも、そして普通の人でも食べすぎはよくありません。
基本は質素な和食をベースにしたバランスのよい食事をすることは、すべての人に大切な健康管理方法です。
また、WHOは「母親の食事内容と乳腺炎には関係がある可能性もある」ということを示唆しています。
1.母乳は血液から作られる
母乳は、ママの血液から作られています。
おっぱいの中には、乳腺組織という場所があります。
血液中の栄養分や白血球を、母乳に変えているのです。
つまり、母乳の中身はママの血液そのものと同じなのですね。
ママの血液がドロドロで健康状態の悪いものだと、当然母乳もそのドロドロ血と同じことになってしまうわけです。
ママの食事内容と母乳の関係に医学的な関連がなくても、やっぱり「ママの体から出るもの」なので食事の影響がないとは言い切れません。
さらに赤ちゃんの体もその母乳で作られていくことを考えたら、やっぱり食事はバランスのいい健康的なものを心掛けることにはちゃんとメリットがあると言えますよね。
2.バランスの良い和食は産後ダイエットにも効果的
バランスのいい食事は、母乳への影響だけでなく産後ダイエットにも効果的なのでおすすめです。
授乳中はどうしても食欲が増すもの。
食べたいものを食べたいだけ食べていたら、産後ダイエットどころか逆にカロリーオーバーになってしまいます。
母乳さえあげていれば自然に痩せるというのは実ははっきり言ってデマ。
摂取カロリーと消費カロリーのバランスによっては、太ることも痩せることもあるというだけなんです。
3.産後の体力の回復、体力の維持
産後は出産や育児の疲れが抜けず、体も心も弱っている状態が続きます。
体の回復を早めて体力を温存するためには、栄養バランスがよく消化に良いものをたくさん食べておきたいのです。
特に産後は、
- ビタミン(葉酸)
- 鉄分
- カルシウム
- タンパク質
上記の栄養素が不足しがちなので、無理のない範囲で補ってあげることが大切です。
母乳と、食事に対するストレスのデメリット
母乳のために、食事に対して神経質になってしまうママは少なくありません。
口にするものすべての影響が気になって調べてしまったり、好きなものが食べられず我慢してストレスをためてしまうママも多いんです。
確かに産後は栄養バランスの良い食事や、低カロリー高たんぱくな食事がおすすめです。
でもそれはあくまでも「理想」なので、きっちり守れないからと言って今すぐ赤ちゃんに影響があるわけではありません。
乳腺炎を繰り返すことで助産師や医師から食事の指導を受けるということもありますが、そうでない限りは普段通りの食事にプラスアルファの心がけをするだけでも十分です。
実は、母乳の分泌にはストレスも影響しているといわれています。
- ホルモンバランスの乱
- 睡眠不足
- 慣れない育児への不安
- 夫や家族への不満
産後は普段よりもストレス要因が多いので、イライラしたり不安感を覚えたりすることも増えますよね。
ストレスで母乳が不足して、結果的にミルクを足さなければならないというケースも決して珍しくはありません。
産後のママは、外にも出られないしおしゃれもできない、赤ちゃんにかかりっきりで自分の時間も持てない。
そんな状況で楽しみにすることと言ったら、食べることくらいなんですよね。
でも、食べるものも制限されて、アルコールはおろかカフェインすら摂取することに不安が出てきます。
好きな料理を食べたり甘いおやつを食べてホッと一息ついたりするのは、決して禁止するべきではなくむしろ必要なことなのではないでしょうか。
産後の食事は、ママの体や母乳のために良いといわれている食材を、できるときにできる範囲で摂取すればOK。
何事も「ほどほどにできればよい」というスタンスでゆるくやっていくことをおすすめします。
産後や授乳中に摂取したい食べ物
産後の回復の回復を早めたり、ママの血液をきれいにして母乳の質をよくするといわれているものをまとめてみました。
授乳中におすすめの食べ物
白米
白米は大事なエネルギー源であり、母乳を作る元になります。
他に手の込んだ料理ができなくても、白米さえしっかり食べていれば、母乳へのエネルギーの供給に問題はありません。
根菜類
根菜が母乳の分泌にいいとされる理由は「水分量の多さ」と「体を温める効果」によります。
なんといっても母乳に欠かせないのは「水分」です。
食事のバランスは完璧じゃなくても、水分だけはしっかりとるべき。
そこで、食事にも水分量の多い根菜類を多く取り入れましょう。
体が冷えると血行悪くなり母乳の分泌に影響が出る可能性もあるため、体を温める食材をうまく取り入れるといいですね。
肉・魚・大豆
タンパク質は、ママの疲労回復や母乳の分泌に良いとされる栄養素。
でも、なるべくなら脂肪分の少ない高たんぱくなたんぱく質がいいとされています。
- 鶏むね肉
- 鶏ささみ
- 牛の赤身
- 青魚
- 白身魚
- 大豆
- 納豆や豆腐
などなど、低カロリー高たんぱくなものが推奨されています。
授乳中におすすめの飲み物
母乳の分泌や質を高めるには、水分がなんといっても必要です。
母乳の80%は水分でできていますし、ママの水分摂取量が少ないと便秘や熱中症などその他の体の不調につながります。
- 麦茶
- タンポポ茶
- 黒豆茶
- ルイボスティー
基本はノンカフェインのお茶で、特別に授乳に影響があると注意書きのないものなら何でもいいと思います。
(ハーブティーには授乳に影響のあるものがありますのでご注意ください。)
また、炭酸飲料や清涼飲料水は糖分が多いので絶対にダメ!
コーヒーはカフェインが強いのでダメ!
という見解も多いですが、たまに少し楽しむ分には問題ありません。
赤ちゃんへの影響が気になる場合は、授乳した直後に飲むなどタイミングを工夫しましょう。
授乳中に避けたい食べ物
高カロリーで脂肪分の多い食べ物
揚げ物や生クリームなどの脂肪分の多い食べものは、ママの血液をドロドロと濃い状態にします。
そのため血液から作られる母乳も、脂分の多いドロドロしたものになる可能性があります。
もちろん、一切禁止ととらえる必要がはありませんが、毎日のように揚げ物やスイーツを食べまくるような食生活は、健康の観点からみてもおすすめできません。
香辛料のきいた料理
カレーやスパイスのきいた多国籍料理などを食べると、そのあとの授乳で赤ちゃんが嫌がるそぶりを見せる…という話をたまに聞きます。
事実かどうかは実証されていませんが、珍しい体験談ではないので味が変わることは実際にあるのでしょう。
- 強い香りのするスパイス
- ニンニク
- 辛いもの
これらは、授乳中にはなるべく控えたほうがいいでしょう。
どうしても食べたいときは我慢せず、搾乳して捨てて、次の授乳はミルクで代用するというママもいますよ。
授乳中に避けたい飲み物
食べ物だけでなく、もちろん飲み物も授乳中には避けるべきものがありますので改めて確認しておきましょう。
アルコール
当然ですが、アルコールは授乳中は絶対に飲まないでください。
ビール1本くらいなら大丈夫、たまになら大丈夫などという意見もありますが、保証はありません。
アルコールは20歳まで飲んではいけないものであり、子供の成長への害が確認されているものです。
お酒を飲みたいのなら、授乳はしないのが鉄則。
息抜きにお酒を飲むのもママのストレス発散にはいい方法だと思いますので、そのときは「母乳」をあきらめてください。
カフェイン
カフェインは、1日コーヒー1~2杯程度なら問題ないとされています。
しかし、カフェインの入った飲み物が水分補給代わりになりがちなので注意が必要です。
カフェインは利尿作用があって、水分をどんどん排出させてしまいます。
母乳育児中は水分不足になりやすいので、カフェインの取りすぎには注意が必要です。
ペパーミントティー
ハーブティーは授乳中によく取り入れられる飲み物ですが、ペパーミントティーは注意が必要。
母乳の分泌を抑えてしまう可能性があるので、授乳中は禁忌となっています。
授乳中におすすめな母乳促進レシピ
1.具だくさんで簡単!けんちん汁
けんちん汁などの汁物に、根菜やお肉をたっぷり入れて保存しておくと便利です。
毎食作るのは手間なので、私はいっぺんにたくさん作って鍋ごと冷蔵庫で保存していました。
けんちん汁だけでなく、豚汁や冷蔵庫のあまり野菜を入れた味噌汁でもいいですね。
引用元:Cookpad
【農家のレシピ】具だくさん☆けんちん汁 by FarmersK
2.根菜たっぷり!筑前煮
筑前煮も、一度に大量に作っておけるのでおすすめ。
家族のお弁当や普段のおかずにも使えて便利。
引用元:Cookpad
3.炊きこみご飯も大量ストックに便利!
炊きこみご飯はレンジも自在だし、特別な材料もいらないので冷蔵庫にあるものだけでできるメニューです。
炊飯器に入れて放置するだけなので、忙しい産後のママでもチャレンジしやすいです。
小分けにして冷凍しておけば、お腹が空いたときにさっとチンしてすぐ食べられて重宝します。
引用元:Cookpad
4.和食に飽きたら!ポトフは簡単でラクラク
和食の煮込み料理は、大量に作ってストックしやすいんですが、味が単調ですぐに飽きます。
たまには洋食がたべたいな~と思ったときは、ポトフが簡単でおすすめです。
家族にも公表なので、産後は定番メニューになっていました。
引用元:Cookpad
5.スープならミネストローネで1品完結!
ミネストローネには、大麦やマカロニなどの炭水化物も入れることができるので、忙しい産後や料理ができない産後にピッタリ。
これも大量に作ってストックし、足りない一品を補うのにも便利です。
引用元:Cookpad
授乳中におすすめ!母乳に影響の少ない市販のおやつは?
産後の数少ない楽しみと言ったら…「おやつ」ですよね。
赤ちゃんが寝たすきに、こっそりおやつを楽しむ時間は至福の時です。
一般的に産後は、
- ふかし芋や焼き芋
- 果物
- ドライフルーツ
- 赤ちゃん用お菓子
などを食べるのが望ましいとされています。
でも……たまにはスイーツやお菓子を食べたいって思いますよね?
そこで、授乳中でも安心して食べられるお菓子を紹介します!
授乳中だけじゃなく、産後ダイエットにも効果的なのでぜひ試してみてくださいね。
1.アイスクリーム
アイスクリームは、ケーキなどに比べて脂質が少ないので甘いものが食べたいときはアイスを選びましょう。
当然ですが、シャーベットやかき氷のほうがカロリーも脂質も少ないので安心感があります。
少しくらい食べすぎても問題ないでしょう。
ただし体が冷えるので、食べた後は体を保温するケアを忘れずに。
グリコのSUNAOは80kcalなので、授乳中のママや産後ダイエット中のママにおすすめ!
2.ナチュラルローソン菓子は種類豊富でおいしい!
私が産後によく買っていた、ナチュラルローソンのお菓子シリーズ。
ローソンのオリジナル商品なんですが、カロリーや糖質、糖分控えめのおやつがいっぱいあるんです。
果物やサツマイモじゃなくてやっぱり「お菓子」が食べたいときは、このナチュラルローソンシリーズおすすめです。
引用元:LAWSON
3.こってり濃厚なヨーグルトで満足感
まるでレアチーズケーキのような触感のギリシャヨーグルトも、産後のおやつにピッタリです。
パルテノやオイコスなど、スーパーやコンビニでも普通に買えるようになりましたね。
かなり濃厚でこってりしているので、満足感があります。
4.ノンフライのスナック菓子
スナック菓子が無性に食べたくなることってありますよね。
でも、やっぱり脂質と糖質の塊なのでおっぱいが張りやすいママは躊躇します。
太りやすいこともあって、産後にはハードルの高いお菓子ですよね。
そこで、ノンフライのスナック菓子を探してみました。
テラフーズのカロリーを気にせず食べられるポテチチップ「焼きじゃがPREMIUM」
こちらの焼きじゃがPREMIUMは、トランス脂肪酸フリーなので体に優しいポテトチップスです。
普通にのポテトチップスに負けず劣らずの商品も結構あるので探してみては。
母乳とアレルギーの関係
食事内容が母乳にそのまま移行するという知識から、アレルギーの心配をするママも少なくありません。
結論から言って、アレルギーを心配してママの食事を制限する必要はありません。
母乳に含まれるアレルゲンはとっても量が少ないので、仮に赤ちゃん飲ませてしまっても重い症状を引き起こすレベルに達することはまずないとされています。
ママが食べたもののアレルゲンは、1~5時間程度で母乳に移行します。
しかし仮に症状が出たとしても、アレルゲンがとても少ないことから軽い症状で済むことがほとんど。
赤ちゃんが既に食物アレルギーを持っていることが分かっている場合は別ですが、何も診断されていないうちは気にせず食事をとってOKです。
ママやパパがアレルギー体質だったり、兄弟がアレルギーを持っていたりすると、母乳からのアレルゲン移行を気にしてしまうママも多いですよね。
しかし、赤ちゃんに異常が見られないなら、いろいろな食材を満遍なくバランス良く食べることのほうが大切です。
ただしアレルギーの心配があるご家庭では、授乳後の赤ちゃんの体調をしっかり観察しておくことは大事ですね。
さいごに
母乳と食事の関係や、授乳中の食事への考え方についてお話してきまいたが、いかがでしたか?
普通の食事をしているママの子でも、母乳大好き!な子もいる。
すっごく食事に気を使っているのに、母乳をあまり飲んでくれない子もいる。
母乳をあげるなら、絶対食事はこうでなきゃいけない!というのは、思い込みという部分も大きいです。
もちろん食事を正しくとることにデメリットはありませんが、その前提としてママがリラックスして楽しく育児することが、まず第一に大事なことです!
育児を楽しむためにも、食事やおやつなどを楽しむ時間を大事にしてくださいね。
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