美肌をつくるためには、「外・内・心」からの三位一体のケアが必要ですが、なぜ三位一体のケアが重要なのかをより深く理解するために、肌のしくみについて考えてみましょう。
私たちの肌は単なる一枚の皮のように見えますが、じつはたくさんの層によってつくられています。
皮膚の構造
まず表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層に分かれています。
その他皮膚の機能をつかさどる毛、爪、汗腺、皮脂腺などの皮膚付属器官が存在し、それらが密接な関係で結ばれ皮膚全体の機能を保っています。
表皮は表皮細胞で構成され、厚さはわずか0.2ミリほど。
外側から「角質層」「透明層」(手のひら、足裏にあります)「顆粒層」「有棘層」「基底層」という順序で区別されています。
- 角質層;皮膚のもっとも外側。新しい細胞ができると垢となりはがれ落ちる。
- 透明層;角質の厚い手のひらと足の裏にある層。薄く透明な細胞。
- 顆粒層;角質層の保湿成分を含む顆粒があり紫外線を反射する働きもある。
- 有棘層;表皮の中でもっとも厚い層。細胞間液が充満し、表皮細胞に栄養を与える。
- 基底層;一層の細胞からなり、基底細胞と少数の色素細胞などが含まれる。
- 毛細血管;真皮内に網の目のように走り、抹消組織に栄養分や酵素を運ぶ。
- 線維芽細胞;真皮内にあり、コラーゲンやエラスチンを生成・分解している。
- コラーゲン線維;コラーゲンが主成分。加齢に伴い硬くなる。
- エラスチン線維;エラスチンが主成分。コラーゲン線維と絡み合い、弾力性を保つ。
- 基質;線維や皮膚の細胞の間を埋め、水分保持の役割を果たす。
- 脂肪細胞;脂肪を蓄積し、体温を保つ。外からの衝撃を和らげる。
表皮はターンオーバー
肌のもっとも上層部にある角質届は、主にケラチンと呼ばれるタンパク質でできていて、水分を保持する機能やさまざまな外的要因から肌を守るためのバリア機能が備わっています。
角質岬の元になる細胞は表皮のもっとも下にある基底層でつくられ、上の層に押し上げられて、順次皮府の表面に移動し、最後は垢し」なってはがれ落ちます。
これがターンオーバーと言われ、そのサイクルは約28~42日です。
こうして常に新しく健康な表皮が維持されますが、加齢とともに新陳代謝が低下していくと、占い角質がはがれるのに時間がかかるようになり、ターンオーバーのサイクルが長くなっていきます。
すると、古い細胞がたまり続けるので、角質肘が厚くなり、肌がくすんで見えたり、ざらついたりします。
また、角質層の角質細胞内に存在する潤い成分「NMF(天然保湿因子」は、ターンオーバーの過程でつくられますが、下脳の若い細胞に多く含まれ、古くなった細胞には少ないため、ターンオーバーが遅くなると、肌の潤いも衰えがちになります。
角質層の肌水分をキープしてターンオーバーを促進させるためには、保湿ケアが欠かせません。
真皮は弾力とハリ
次は、真皮についてです。
真皮は皮膚の本体であり、表皮よりも数倍~数十倍の厚さがあります。
真皮の主成分はコラーゲン線維やエラスチン線維と呼ばれる線維性タンパク質で、その状態によって、肌のハリや硬さ、弾力などが決まります。
また、コラーゲン線維とエラスチン線維の間を埋めているのが、基質‐と呼ばれる部分で、ヒアルロン酸などのムコ多糖類で構成されています。
ゼリー状で、ここにたっぷり水分が含まれていると弾力のある肌になります。
また、この層には、毛、爪、汗腺、皮脂腺などの皮膚付属器官、毛細血管が存在します。
最近は、「コラーゲン入り」などとうたった化粧品がたくさん出ていますが、単純に皮肘の外から化粧州で補っても、成分の分子が大きいので、真皮にまでは浸透しません。
ただし角質層の表面で潤いを保つ効果は発揮します。
真皮の状態を改善するためには、タンパク質やビタミンC、ミネラルをしっかり摂取するようにして、アンチエイジング効果のある食材を食べるなど、内からのケアが必要です。
皮下組織は毛細血管
皮下組織とは、皮膚のもっとも内側に存在する層で、体温を保ち、筋肉や血管を守る多くの脂肪を蓄え、動脈・静脈が通っている組織です。
皮下組織の血行が悪くなると、セルライト(脂肪と老廃物のかたまり)がたまったり、肌に透明感がなくなったり、真皮の血流や栄養状態が悪化して肌の状態も悪くなります。
皮下組織を活性化させるためには、代謝アップなど休を活性化させることが大切。
運動やストレッチなどで、全身の血行を促進させましょう。
美しい肌の定義
女性なら縦でも「美しい肌になりたい!」
と願いますが、いったい美しい肌とはどんな肌なのでしょうか?
肌の表面がなめらかでツヤがあり、しみ、くすみ、赤みなどがなく肌色が均一で弾力性があって引き締まっている、刺激に対して抵抗力があるなどがあげられるでしょう。
あなたに美しい肌の状態をイメージしていただくために、表皮はシーツ、真皮はマットレスにたとえて説明しています。
いくらシーツをピンときれいに張っても、シーツの下のマットレスがでこぽこしていれば、きれいなベッドメイクができませんね。
表皮と真皮の関係にも同じようなことが言え、美しい肌をキープするためには、表皮とその下の真皮、このふたつの部分を健康な状態に保つことがもっとも大切です。
高級化粧品のメリット
高級化粧品にはさまざまな美容成分が使われています。
しかし、その効果は本当のところはよくわかりません。
とても大好きな曲を、変なアレンジで長々と聴かされたときのようなガッカリ感に襲われることもあります。
確かに原材料の精度や安全性などにこだわりがあるとは思いますが、実は外側のパッケージも、中身と同じくらい値段に影響しています。
化粧品の容器の、とくに口の部分というのは量産できず、生産コストもかかります。
高級化粧品の場合、おしゃれなデザインで消費者をひきつけなければなりません。
容器のデザインから生産、宣伝の部分までかなりコストがかかっているはずです。
つまり、その価格には、成分以外の費用も含まれています。
その事実は、サザエさんにジャンケンで負けたときのような悲しさに似ています。
高級だから効果が高いとは言いきれないのです。
高級化粧州のメリットは、その成分だけではなく、使うことでリッチな気分になったり、信頼感、安心感なども得られたりすることではないでしょうか。
高ければ高いほどいい、というものではなく、ひと瓶1万円する美容液でも700円の美容液でも、自分の肌に合うということが何より大切です。
無添加という神話
化粧品は、その管理のしかたによっても肌に影響があります。
たとえば、無添加、ナチュラル、天然などをウリにしている化粧品は、防腐剤などが入っていないものがあります。
製品そのものの安全性は高いかもしれませんが、長持ちはしません。
そういう製品は冷蔵庫に入れて保管してください。
また、瓶の口に指がふれたり、スプレーの噴霧口に頬がふれたりすると、そこから菌が繁殖します。
振って出す、綿棒やスパチュラ(ヘラ)などで取るなど、絶対に皮膚が容器の口にふれないように。
小瓶に移して使ったりしてもいいでしょう。
チューブタイプの軟膏なども、手に直接のせるようにして取ったら、そのあと数ミリぶん出してティッシュなどに取って捨ててください。
暑い夏場にそのあたりに放置して、皮府がふれるような使い方をしているとあっというまにカビてしまいます。
とくに栄養クリームと表示されたクリームは、じかに指を入れないこと。
なかでも馬油などの動物性の成分が配合されたものは、栄養成分が盟富なために閑の繁殖率も高まります。
必ずスパチュラなどを使って手に取るのが、一番いい状態で化粧品を使うコツです。
一度手にふれたスパチュラはクリームのなかに戻さないようにしましょう。
せっかくの高級無添加化粧品も雑菌でいっぱいだと、ラーメン屋で餃子とラーメンを頼んだらラーメンを食べ終わっても餃子がまだこないときのような切なさに襲われます。
ずーっと間違えていました。
スキンケアの王道だと思っていた○○がNGだったなんて。。
ご紹介しますね。。
やってはいけない「泡立て洗顔」!
ナチュラルメイクやすつぴんで過ごした日は、クレンジングを使わず、洗顔料で洗うだけで十分汚れは落ちます。
クレンジングに比べると、界面活性剤の量も少ないため、肌への負担が少ないのです。
洗顔するときに固形石けんを使う時は、洗顔後の乾燥によるつっぱり感をおさえる効果のあるものを選んでください。
美容成分が入っている顔専用がいいでしょう。
また、肌のことを考えると、できるだけ泡立ちの悪いものを選ぶようにしてください。
なかには、泡立て用のナイロンスポンジでふわふわの泡をつくり、たっぷりと顔にのせて、泡を潰さないように振動洗い、いわゆる「泡立て洗顔」を実践している人も多いと思います。
肌にいいイメージがあると思いますが、実はこれはNG。
泡立てたことによって、洗顔料の表面積が広がってそのぶん肌への吸着面が州え、泡立てずに洗顔するときよりもずっと洗浄力が強くなってしまうのです。
洗浄力が強いと、必要な皮脂まで奪われてしまい潤いが無くなります。
自浄能力を信じることが大事です。
物足りない
乳液タイプやクリームタイプの洗顔料は、ぶどう1粒ぶんとか2センチぶん出す、などと表示されています。
しかし、それよりもやや少ない量を取り、水で薄め、泡が立ちすぎない程度によく伸ばします。
あとはクレンジング剤での洗顔と同じ。
Tゾーンなどの脂っぽいところからつけはじめます。
目のまわりや頬には直接つけず、洗い流すときに手に残っている洗顔料だけで。
軽いタッチで、くるくると指をすべらせます。できるだけ短時間ですませ、流すときはこすらず、水を何度もかけて、洗顔料をよく流してください。
洗いすぎはよくありませんが、洗い残しの洗顔料があるのも肌によくありません。
角質にこだわりすぎない
洗顔料を選ぶときはスクラブやピーリング剤が入ったものは出来るだけさけてください。
スクラブ入りの洗顔料には、細かい粒子が含まれ、この粒子が毛穴などの汚れを落とすとうたわれています。
実はこの粒子、塩や米ぬか、あずき、くるみの殻や貝殻を細かくしたものから、ビックリすることに砂まで使われています。
大きな毛穴の入り口の汚れくらいは取れるかもしれませんが、その効果より、肌を傷つけるデメリットのほうがはるかに大きいのです。
毎日スクラブ入りの洗顔料で洗ってしまうと、肌が細かい傷でボロボロになります。
男性用の洗顔などはスクラブ入りが非常に多いのですが、男性だからと言ってお肌に良いわけではありません。
わたしの友達は、高校生の頃にスクラブ入りの洗顔で洗ったために、ニキビがつぶれてしまい今でも痕になっています。
後悔しても仕切れないと言っています。
ピーリング剤も肌の表面をけずってしまいます。
ピーリングについてはのちほど詳しく説明しますが、フルーツの酸などを配合しているものには、角質を溶かす作用があります。
古い角質を効率よく取り除くことはできますが、これを毎日の洗顔でおこなっていると、新陳代謝を助けるどころか、必要な角質がはがれ続けることになるのです。
お肌は、自分で再生をします。
無理に皮を剥いたり角質を落とそうとしなくても、自然とターンオーバーで剥がれていきます。
おわりに
スキンケア商品を選ぶときに大事なこと。
それは、まず自分のお肌の状態を知る必要があります。
自分のお肌の状態に合ったスキンケアを選ばないと、いくら高いスキンケア商品でも無意味になります。
お肌が荒れていないか?
敏感肌?
乾燥肌?
混合肌?
きちんと自分のお肌の状態を理解して、自分に合ったスキンケア商品を選びましょう。