産後の体の変化のひとつに「悪露(おろ)」というものがあります。
悪露とは出産後の女性には必ずある、血のおりもののこと。
ナプキンやパットの交換など、悪露のケアってけっこう面倒だと感じることも多いですよね。
回復のバロメーターにもなるため、なるべく早く治まって完全復活を遂げたいものです。
一般的には産後1週間程度で落ち着いてくることが多いものの、長引いたり塊の悪露が出たりするとびっくりしてしまう人も多いのでは?
今回は、悪露の異常や病院受診の目安についての疑問をまとめました。
産後の悪露とは、そもそも何?
悪露とは、産後数週間程度続く血液の混ざったおりもののことです。
出産後の子宮は、6~8週間という期間をかけて元の大きさに戻ります。
これを「子宮復古(しきゅうふっこ)」といいます。
悪露の正体は?
- 子宮粘膜の分泌物
- 胎膜
- 胎盤組織の変性分解物
- 産道の傷からの分泌液
など。
ちょっと難しいかもしれませんが、赤ちゃんを守っていた子宮内の組織が、産後徐々に排出されると言うイメージでいいと思います。
産後1週間は生理の1~2日目くらいの量が一般的で、粘り気が強いのが特徴です。
多くの場合、産後1週間程度で悪露の量も落ちつき、色も鮮血から茶褐色のおりもの程度になります。
また、悪露のにおいにも注意しておくようにしましょう。
産後間もないうちは、子宮内容物の独特の生臭いにおいがあります。
においが強くても、産後1~2週間程度であれば正常です。
そして徐々ににおいは気にならなくなっていき、産後1カ月の時点ではにおいはほぼ無臭になります。
悪露が長引くとどうなる?
悪露の状態には個人差があり、1カ月程度は悪露が続くこともあります。
産後の1カ月検診をしっかりと受け、ここで異常がないかを確認してもらうことができますので慌てないようにしましょう。
悪露が長引いている原因は、子宮の回復が遅れている可能性があります。
1カ月以上悪露が続く、もしくは悪露の量が増える場合などは要注意。
子宮復古不全である可能性が考えられます。
※子宮復古不全とは?
子宮の内側の胎盤が剥がれた跡が正しく止血されず、回復が遅れることを言います。
子宮回復が遅れると、悪露が停滞してしまうことで細菌感染を起こす可能性があります。
最近感染により子宮内膜炎に発展してしまうケースもあるので注意しましょう。
※子宮内膜炎とは?
子宮の内側を覆っている子宮内膜に炎症起こす病気です。
分娩後は通常よりも子宮内膜炎を起こしやすい状況になります。
毎月の生理による子宮内膜の入れ替わりがないので、感染が起こりやすくなっているのです。
帝王切開の悪露は?
帝王切開での出産の場合、悪露が普通分娩の人よりも長引くと言われています。
人によっては2カ月程度悪露が続くこともありますが、量は次第に減っていくのが普通です。
前日より量が増えているとか、量が変わらない場合何かしらの異常が考えられます。
悪露が塊で出てきた!これって異常?
悪露が塊で出てきてびっくり!
見た目のグロテスクさから、何かの異常ではないかとびっくりしてしまうことも多いですよね。
基本的に、産後1カ月以内であれば悪露が塊で出てきてもそれ自体は異常ではありません。
子宮内膜や胎盤組織などが、塊でそのまま排出されただけです。
正常に排出が行われていると考えられます。
産後しばらくたってから、塊の悪露が出たら?
産後1カ月以上経過してから、塊の悪露が出てきた場合は要注意です。
1カ月検診で子宮の中がきれいになったことが確認され、その後塊の悪露が出るというのは正常とは言い難いです。
他に何か原因が隠れていないか、調べてもらう必要があります。
また、悪露の色や形状、大きさにも注意して見てください。
塊の悪露であっても、透明や白っぽい色であれば問題ないことがほとんどです。
もし塊に血が混ざっていても、小さなものであれば問題ないでしょう
子宮内に若干残っていたものが、遅れて排出されたと考えれば問題ありません。
しかし、塊が大きくて異物感を感じたり、お腹の痛みを感じたりする場合は要注意。
次の項目では、痛みや異物感のある悪露について解説していきます。
違和感がある場合も!
悪露が塊で出てくるとき、その大きさから「異物感」を感じる人も少なくありません。
人によっては、直径30~40センチの大きな塊がボトンと排出されることもあります。
ただし多くの場合、このような大きな悪露の塊が出るのは産後すぐから2週間前後です。
その後も同じような塊が出続ける、鮮血の悪露が続くなどという場合には異常が考えられますので注意して観察しましょう。
入院中の診察で子宮の戻りがよいと言われていても、2週間以降になって塊の悪露が出るケースもあります。
子宮の内容物が残っている場合、病院でもう一度子宮の中を掃除してもらう必要が出てきます。
産後の悪露が塊で出たとき、病院を受診する目安は?
悪露が塊で出てきたときは一瞬びっくりしてしまうものですが、慌てず対処するようにしましょう。
産後1~2週間以内だと、長さ30cm以上の大きな肉片のようなものが出てくることもあります。
一見とんでもないものが出てきたと思うかもしれませんが、実際はよくあることなのであまり心配いりません。
産後の1カ月検診前であればそのまま様子を見ても大丈夫です。
まだまだ悪露が続いていてもおかしくない期間なので、塊の悪露が出ること自体に問題はないでしょう。
ただし、次のような異常がないかどうかを確認してください。
- 貧血症状
- お腹の痛み
- 発熱
- 多量の出血
塊の悪露が出る前後にこのような症状がある場合は病院に連絡てみましょう。
病院に電話で連絡して症状を伝えることで、受診の必要があるかどうかを指示してもらえることも。
産後は赤ちゃんもいるので、なかなか思うように外出ができません。
明らかに体調が悪いというわけでもない。
ちょっと心配だけど、病院に行って無駄足になるのもなあ…。
こんな持ちから、病院に行く足が遠のくこともありますよね。
そんなときは、直接受診する前に病院に電話で確認を取ってみると安心です。
また、1カ月検診のときに塊の悪露が出たことなど、不安な点をしっかり説明して診察してもらうことも大切です。
産後の健診で異常なしだったのに、その後塊の悪露や鮮血が出るケースもあります。
順調に回復していたのに、突然の再出血や塊の悪露が出ると動揺してしまうことも多いはずです。
心配なことや不安な症状が見られたら、その都度病院に確認するようにしましょう。
産後初の生理と、塊の出血
産後、生理が再開する時期は人によって異なります。
母乳をあげていると生理が来ないケースが多いですが、中には授乳中や産後すぐに生理が再開することもあります。
産後初めてくる生理のときに、大きな塊の出血があることも。
これは筆者の私も実際に体験し、衝撃を受けたのでお話しさせてもらいますね。
産後初めての生理、出血の状態は?
産後の生理の出血量には個人差があります。
長い間出血がなかったので、一気に多量の出血がでるようなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかし、授乳中はプロラクチンというホルモンが分泌により排卵が起こらないことが多く、生理もないという仕組みになっています。
そのため、血液が溜まっているというようなことはなく、出血量は必ずしも多いとは限りません。
妊娠や出産を機に、生理の特徴が変わることも。
経血量が増えたり減ったり、生理痛の度合いも変わることがあります。
産後初めての生理で、塊の出血がある事例多数!
産後初めての生理のときに、2日目以降にドロッとした塊のような出血がある事例が多くあります。
私もその経験をしたうちの一人で、かなり激しい痛みを伴いました。
突然お腹に冷や汗をかくような激しい痛みがあり、徐々に何かが生まれるような感覚が。
必死にトイレに行くと、生理の出血とともに大きな血の塊がドボンと生まれたのです。
出産を思い出させるような痛みで、その場にうずくまってしまったのを覚えています。
排出された後は痛みもきれいさっぱりなくなり、その後の婦人科健診でも幸い異常はありませんでした。
産後3カ月程たっていたので悪露ということは考えにくいし、一体何なのだろう??とかなり疑問に思いました。
そこで同じような事例があるかどうか調べてみると、思いの外たくさんの女性が同じような経験をしていることが分かったのです!
私の場合、産後の生理の再開は3カ月と比較的は早めです。
しかし、1年6カ月ぶりの生理で同じような症状がみられたケースもあり、再開の時期はあまり関係がないようです。
産後の休養が解決に?
基本的に、生理時にレバー状の塊の出血があることはあまりいいことではありません。
- 冷え
- 疲れ
- ストレス
などが関係している可能性があります。
私も産後3週間で普段通りの生活に戻ったので、一般的な床上げである産後1カ月より前から家事育児をしていました。
少々無理をしてしまったことが、産後の生理の不調を引き起こした可能性は否定できませんね。
産後、無理に動きすぎたり疲れやストレスを溜めたりしていると、産後の生理にも影響が出るかもしれません。
正しく休養をとり、規則正しい生活や健康的な食生活を心がけてみるようにしましょう。
私の場合痛みもあり出血量も多く、さらに大きな塊が出たのですが、それでもその後の受診では異常なしでした。
もちろん全ての場合に当てはまることではありませんが、このような事例もあるということをご紹介させてもらいました。
さいごに
今回は、産後に起こる塊の出血についてまとめました。
悪露や生理など、産後の出血に関する悩みは多いものですよね。
今回の大事なポイントは…
- 産後1カ月以内の塊の悪露は心配ない
- 悪露の状態をしっかり観察しておく
- 産後の健診で必ず相談する
- 健診後の悪露や出血に注意する
- 産後初の生理にも塊の出血を伴うことがある
産後の回復や症状は個人差があり、一概に断定できないことも多いです。
不安なことは病院に電話で確認したり、健診時に詳しく話すなどして悩みを解消していきましょう。