妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響を考えて、お酒を控えていた人がほとんどではないでしょうか。
少量なら問題ない、という説もあるようですが何かあってからでは遅いので、妊娠中のお酒は控えるべきと言われていますよね。
長い妊娠期間中、ずっと我慢していたお酒。
いつになったら飲めるのかなぁ?
たまには飲んでもいいのでは?
そんな気持ちに傾きつつあるママもいると思います。
でも、産後数カ月間は母乳をあげている人も多いはず。
せっかく身軽になったけれど、まだ心置きなくお酒を飲むことはできませんね。
今回は母乳をあげている期間の、お酒との付き合い方についてお話をしていきます。
そろそろお酒を解禁してもいい?
産後どのくらいの時期にお酒を解禁にするかは、人それぞれです。
「卒乳までは我慢すべき」という意見が圧倒的に多いとか、正しい意見だと思って悩んでいるママも多いのではないでしょうか?
または、育児中の息抜きはお酒以外のものにすべきだと思っている人も多いかもしれませんね。
「授乳中くらい我慢したら?」
と言われたり
「赤ちゃんより自分の欲求の方が大事なの?」
なんて、悪く言われてしまうこともあります。
もちろんお酒を飲まないで、卒乳までしっかり母乳育児できるのがいちばん良いことは確かです。
それは誰もが承知のことですよね。
しかし、他人の好きなことを誰かに否定する権利はありません。
実際には、産後すぐにお酒を解禁する人や、2日に1回は晩酌して気分転換しているママもいます。
しかし、その方法には疑問が残る部分が多いです。
お酒を飲んだ後は、母乳を搾乳して捨てる人。
搾乳はしないけれど、時間を空けて体内のアルコールが抜けてから授乳する人。
ビールやチューハイ程度なら、そのまま授乳している人。
やり方は様々で、ネット上には
「私は授乳しながらお酒を飲んでいましたが、うちの子は今もすくすく元気に育っています!」
というような書き込みも、頻繁に目にします。
産後すぐからお酒を飲むママは少数派ではありますが、それが間違ったことだと思う必要はありません。
ただしお酒を飲むのであれば、しっかりとした選択をしていくべきです。
上記のように
「お酒を飲みながら授乳しても、うちの子に影響はなかった。」
とか
「搾乳しなくても、時間さえあけて授乳すればOK。」
というような、一般のママの無責任な情報を鵜呑みにすることはやめましょう。
お酒を解禁するのは、いつだって自由です。
どのくらいの頻度でお酒を飲んでも、家事育児の息抜きがお酒でも、それは個人の自由です。
でも、お酒を選ぶなら母乳育児はきっぱりとあきらめるべきでしょう。
母乳にお酒が与える影響とは?
母乳をあげながらの飲酒は、赤ちゃんに様々な悪影響を与えます。
1. 急性アルコール中毒
飲酒をしたあと数時間の母乳には、ママの血中アルコール数値と同じ濃度のアルコールが含まれています。
母乳は血液でできていますので、飲酒後に母乳をあげることは、赤ちゃんもママと同じように飲酒していることになります。
赤ちゃんは体の機能も非常に未熟で、体も小さいですよね。
飲酒してそのまま母乳をあげてしまった場合、赤ちゃんは急性アルコール中毒になる危険性があります。
意識がもうろうとしてけいれんを起こし、場合によっては命の危険もあります。
2. 胃腸への負担
赤ちゃんの消化機能は非常に未熟です。
アルコールの含まれた母乳を飲んでしまうと、未熟な赤ちゃんの胃腸では消化しきれずに下痢をすることがあります。
胃腸にダメージを与えてしまうので、消化吸収機能が低下してしまうのです。
3. 脳の発達への影響
お酒を飲むと脳細胞が作られなくなったり、萎縮したりすることが分かっています。
そのため、成長の著しい未成年の飲酒が禁止されているのです。
赤ちゃんは成長期の子供の何倍ものスピードで成長しています。
そこにアルコール入りの母乳を与えてしまうと、脳の発達を妨げてしまう可能性が。
- 落ち着きがなくなる
- 言語の遅れ
- 学習障害
- 低身長
- 低体重
- 肥満
など様々な影響が成長とともに発覚してくる恐れがあるのです。
この影響は、1日2日の様子を見ても分かりません。
さらに成長過程で発達障害などが見つかっても、授乳中のお酒が原因かどうかを判断することも難しいでしょう。
もし自分の子供に何かしらの障害が見つかったとき、あなたは自分の飲酒を責めることになるのではないでしょうか。
母乳は、お酒を飲んで何時間後ならあげてもいい?
結論から言って、何時間後ならあげてもいいと明確に答えを出すことはできません。
ママが酔いを感じている間は、母乳にもアルコールが含まれていると言います。
しかし、自分の感覚では酔いがさめていても、血中のアルコール数値までははかることができません。
(飲酒運転の逮捕も、自分の感覚では冷めたと思っていたという事例が多くあります。)
ですから、酔いの感覚と血中アルコールの数値は関係ありません。
お酒を飲んで数分後から母乳にアルコールが含まれるようになり、2時間半~7時間半程度は母乳にアルコールが含まれている可能性があります。
この2時間半~7時間半という時間も、幅が広すぎます。
自分の体がどれくらいの時間でアルコール分解できているのかなんて、分かりませんよね。
また母乳に含まれるアルコールの濃度も、ママの体格や体質による個人差があります。
お酒を飲んだ量によっても、開ける時間は変わってくるでしょう。
350mlのビールやチューハイを飲んだときと、500mlのものを飲んだときとでは、500mlを飲んだときの方が母乳再開までの時間は長くなります。
さらにアルコール度数にもばらつきがありますし、お酒によっては酔い方も違ってきます。
ビールやチューハイなら比較的すぐに酔って短時間で抜けやすいですが、日本酒やワイン、焼酎などになるとまた酔い方が違いますよね。
これらを個別に判断して、絶対に母乳に影響が出ないように計算することは不可能です。
いくらある程度の時間を置いていても、お酒を飲んでいる限り「安全」は保障できません。
もし何か赤ちゃんに異常が発見されたときに、お酒の影響ではないと断言することはできないわけです。
お酒を飲むと母乳の生産量が落ちる
出典元:IN YOU
お酒を飲むことで、母乳の生産量が減るという報告もあります。
アルコールの摂取は、母乳の分泌を促す“プロラクチン”や、反射を促す“オキシトシン”の分泌を抑制してしまうという見解もあります。
アルコールと母乳の分泌量には関係がない、とする意見もあり専門家の間でも見解が分かれていますが、授乳頻度が減ることによっても母乳の分泌は悪くなります。
お酒を飲んだあとの母乳は搾乳するしかありません。
(溜めたままだと乳腺が詰まってしまうので、乳腺炎などのトラブルの原因になります。)
実際に赤ちゃんに吸い付いてもらわないと、オキシトシンの分泌が抑えられます。
また搾乳が正しくできないことで乳腺炎になったり、母乳の質が低下したりという可能性も。
お酒を楽しみながら母乳育児をするというのは、効率が悪く現実的な方法とは言えないのではないでしょうか。
お酒を飲むなら母乳をやめたほうが、効率的です
お酒を飲みながら母乳をあげるって、実際やってみるとすごく面倒で大変です!
それでなくても赤ちゃんのお世話や授乳、それに加えて家事もしなければいけない。
考えることややることがいっぱいのママ。
休む時間も限られて、頭が働かないこともあるママ。
そんな状況の中でお酒を飲むと、判断力や理性なども正しく働かないことがあります。
「ちょっとくらい平気かな…?」
と、お酒が抜けきっているかどうか分からない母乳をあげてしまう危険性だって出てきます。
そして絶対に安全とは言い切れない母乳をあげてしまうことに、うしろめたさや罪悪感を感じることも。
お酒を飲むことが息抜きのはずなのに、逆に心配やストレスを生み出しているのって、なんだかおかしいと思いませんか?
だったら、きっぱり母乳育児をあきらめてミルク育児に切り替えた方がいいです。
「お酒のために母乳をやめるなんて、母親失格かも?」
と思いますよね。
世間一般的な考えからしたら、そうかもしれません。
でも、我慢するのがいい母親という考えは間違っています。
自分を犠牲にするのがいい母親なのではありません。
子供を適切に安全に育てる方法を考えて選択するのが、母親の務めです。
栄養バランスに優れた価格の高い育児用ミルクを選ぶ人と、家計に優しい価格の安い育児用ミルクを選ぶ人がいるように、どっちを選ぶかはすべてママの自由なんですよ。
お酒が趣味でもママの価値は変わらない!
授乳中だけどお酒を飲みたい。
お酒が飲みたいからミルク育児にする。
もちろんこういう選択をするママはたくさんいます。
その一方で、このような選択を否定する人もたくさんいますよね。
「わざわざお酒を息抜きにする必要ない!」
「お酒を飲んでいるときに赤ちゃんに何かあったらどうするの?」
「もっと他の趣味や息抜きを作るべきだと思う。」
こういう言葉をかけられることもあります。
質問掲示板でも、このような意見は多いですよね。
でも、そんなの関係ない!
好きなことは、人それぞれ。
趣味や息抜きの方法って、わざわざ頑張って探したり作ったりするものですか?
ママの趣味が“手芸”でも、“お酒”でも
ママの価値に変わりはありません。
いつも赤ちゃん第一で、趣味は赤ちゃんの靴下を編むことで、自分の楽しみは二の次でもいい。
そんなママだけが、「いい母親」ですか?
(もちろんそんなママも、いい母親です。)
育児中のママには、できることが限られています。
出かける場所、時間も限られているでしょう。
家での自由時間も少ない。
趣味にかけられるお金だって、専業主婦にはほとんどない。
寝る前の1~2時間、好きなドラマ見をながら晩酌するくらいしかストレス発散の機会がないというママは多いのです。
それくらいしか楽しみがないのに、「それくらい我慢しろ」と言われるのもつらいものがありますよね。
育児中のお酒との付き合い方
お酒を飲むからには、それなりに正しく向き合う必要も出てきます。
育児中でもお酒を楽しむために、注意すべきポイントを抑えておきましょう。
1. 泥酔しない
いくらミルク育児に切り替えても、赤ちゃんは夜中にいろいろな理由で起きて泣くものです。
泥酔して赤ちゃんの呼びかけに気付かない、赤ちゃんが起きて動き回っていることに気付かない、という状態にならないようにしましょう。
音がちゃんと聞こえる場所で寝かせる、ベビーモニターを使うなどして、赤ちゃんの様子には定期的に気を配りましょう。
また、翌朝の体調も考慮して飲むことも大事です。
妊娠前と違って、翌朝お酒の影響があってもダラダラ寝ているわけにはいきません。
夫の協力が得らればいいですが、なるべく朝に響かないよう泥酔は避けたいですね。
2. 赤ちゃんの様子に注意
今日は晩酌しようかな、と思ったら赤ちゃんの様子はしっかり観察しておきましょう。
風邪の症状がある、やらたにぐずるなど普段と違う様子があるときは、夜中に状態が急変する可能性もあります。
いつもと違うと不安に感じたら、その日はお酒を控えて様子を見てあげるようにしましょうね。
3. 万が一の交通手段の確保
日中の様子をしっかり見ていて見、夜中に突然熱が出る、様子が変わるこということも絶対にないとは言えません。
そんなとき慌てないように、交通手段だけは確保しておきましょう。
夜間救急病院などに連れて行くときの移動手段が車だと、ママが対応できません。
家族の誰かにお願いするか、タクシーを手配するなどの方法を考えておくと安心です。
4. 誤飲に注意
お酒を飲みながら寝てしまい、飲みかけのお酒をそのままテーブルに置いて熟睡するなど…。
こういう状況は絶対にないようにしましょう。
(パパにも注意してくださいね。)
赤ちゃんが誤飲する可能性があるので、手の届く場所にお酒類を置きっぱなしにしないように注意しましょう。
5. 依存しすぎない
実は一番大切なこと、「お酒に依存しすぎない」ことです。
女性や主婦はアルコール依存症になりやすい傾向にあると言われています。
特に育児中のママは、他に楽しみがないことや孤独感からお酒に依存してしまうことも。
もちろん、赤ちゃんがいてもお酒を楽しむことは大いに結構。
でもお酒の量のコントロールや休肝日を作ることなども忘れずに。
お酒以外にも楽しい時間を過ごせるよう、視野を広げていくことも時には必要です。
さいごに
産後、お酒を飲んでストレスを発散することは間違ったことではありません。
好きなこと、快感を得るものは人それぞれ違います。
お酒を飲むことと、母親としての自覚や責任などは、あまり深い関係がありません。
それよりも
「お酒を飲んでから授乳していたけど、平気だったよ。」
「ビール1缶くらいなら大丈夫って聞いたよ。」
こんな安易な情報を鵜呑みにして、後で後悔するというのがもっともダメな例。
そして、またそれを他のママに継承してしまうのも避けて欲しいです。
お酒を飲むならミルクで育てる。
母乳をあげたいならお酒を我慢する。
どちらを選ぶのが正しいということはありません。
ミルク育児という選択をすることも、立派な決断だと私は思っています。
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