中年の男性に
ホットフラッシュを知っていますか?
と聞くと、知らない人が多いことに驚きます。
更年期の『のぼせ』『ほてり』は?と聞くと、なんとなく知っているという回答が多いです。
どんな原因で、どんな症状が起こるのかを少し説明します。
ホットフラッシュとは
ホットフラッシュとは、更年期障害で起こる代表的な症状の
- のぼせ
- ほてり
- 発汗
の事をホットフラッシュといいます。
言葉のイメージ通りで
ホット=熱い
フラッシュ=突然・いきなり・ビックリ
という感じです。
急に顔が熱くなってのぼせたり、突然汗が止まらなくなったり。
時間も場所も選ばず症状が出るので、非常につらい症状です。
年齢は更年期世代、30代後半から40代の中頃から症状が出ます。
最近ではプレ更年期と言われる20代の女性も同様の症状に悩まされる人もいます。
ホットフラッシュの症状
大きく3つあります。
のぼせ
お風呂に長い時間入っていた時と同じように、何か原因があるわけでもないのに上半身や顔がカーっと熱くなります。
ほてり
初恋のような顔がポッとほてる程度ならいいのですが、まったく原因がわからないタイミングで首筋や顔がほてります。
睡眠中のほてりで寝つきが悪くなったり中途覚醒(途中で目が覚めること)を起こしたり、熟睡ができなかったり。
睡眠の質が低下して体や自律神経のバランスを崩し、ホットフラッシュの症状が悪化するスパイラルに入ることもあります。
発汗
『のぼせ』や『ほてり』と同様に、原因もなく上半身や首筋に汗がバァーっと吹き出します。
寝汗がひどくなる人も多くいます。
寝汗がひどいと寝つきも悪くなり生活リズムが崩れます。
このような症状は場所を選ばず突然起きるので非常にこまります。
また、発汗がひどいときはビックリするほど滴り落ちます。
出先で首筋やワキ、背中などがびっしょりと汗をかきます。
汗ジミが本当に恥ずかしいという思いでいっぱいです。
スウェッティング
スウェッティングとは発汗、おもに多汗のことを言います。
まだまだ一般的ではない言葉ですが、ホットフラッシュと同様に更年期に関する用語です。
上記以外の症状で動悸や息切れ、喉が渇くなどの症状もあります。
PMS
PMS(月経前症候群)でもホットフラッシュが発症することがあります。
生理前におこる不調のことをPMSと言い、PMSでの不調がひどい人は更年期の症状も重いと言われています。
その他の病気
甲状腺の機能が関わっている病気や、高血圧・心臓病・糖尿病などの病気でもホットフラッシュと同様の症状が出ることもあります。
次の章で原因を説明しますね。
ホットフラッシュの原因
ホットフラッシュの原因は女性ホルモン『エストロゲン』の減少が一番の要因と言われています。
女性ホルモンには『エストロゲン』と『プロゲステロン』の2種類ありますが、『エストロゲン』の分泌量が大幅に減ることが問題です。
『エストロゲン』は卵巣ホルモンとも言われています。
『エストロゲン』の働きは
- 女性らしい体をつくる
- 基礎体温を下げる
- 生理周期を安定させる
- 自律神経を整える
- 骨を丈夫にする
などがあります。
『エストロゲン』は30代中頃から減少しますが、急激な減少に体がついてきてくれません。
脳は身体の異変を察知して『エストロゲン』の分泌を指示します。
しかし、実際には『エストロゲン』は分泌は足りません。
『エストロゲン』が足りないので、卵胞刺激ホルモンをドンドンと分泌させて『エストロゲン』の分泌を促し続けます。
注;卵胞刺激ホルモン(FSH:Follicle-Stimulating Hormone)とは卵巣に刺激を与えて生殖機能の発育や機能を調整するためのホルモンです。
その体のバランスの悪さが、自律神経の乱れにつながりホットフラッシュを発症します。
ホットフラッシュは血管運動神経症状です。
血管の収縮や拡張を自律神経が行っているので、自律神経が乱れるとコントロールがうまくいきません。
人によっては更年期障害の症状を認識することもなく、閉経を迎え何もないままに生活を送れる人もいます。
こういう人は、『エストロゲン』の減少に対しての対応力が人より高いのかもしれません。
『わたしは症状がひどいの。。』
という人は、体が『エストロゲン』の減少にビックリして、なんとか対応しようと必死になっている人です。
という方のために、次の章で説明しますね。
ホットフラッシュの対策
ホットフラッシュのの対策は
- 婦人科で治療
- 漢方薬でケア
- サプリメントでケア
症状のレベルによって治療をすべきかどうかを判断する指標【簡略更年期指数(SMI)】があります。
症状 | 症状の程度(点) | |||
強 | 中 | 弱 | 無 | |
1.顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 |
2.汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 |
3.腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 |
4.息切れ、動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 |
5.寝つきが悪い、または眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 |
6.怒りやすく、すぐイライラする | 12 | 8 | 4 | 0 |
7.くよくよしたり、憂うつになることがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
8.頭痛、めまい、吐き気がよくある | 7 | 5 | 3 | 0 |
9.疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 |
10.肩こり、腰痛、手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
自己採点
下記よりPDFをダウンロードできます。
プリントアウトしてチェックしてみてください。
50点以下の人は予防が大事です。
生活リズムや食生活のバランスを意識して、ホットフラッシュのケアをしましょう。
50点以上の人は、カウンセリングや治療が必要とされています。
次の章で治療法を説明しますね。
ホットフラッシュの治療法
ホットフラッシュの治療法は下記の通りです。
ホルモン補充療法
ホットフラッシュの代表的な治療法は
ホルモン補充療法(HRT)です。
減少した『エストロゲン』を補う療法です。
飲み薬や貼り薬で『エストロゲン』を補填します。
ジェル剤やパッチ剤などもあります。
『エストロゲン』を補填することにより、自律神経失調症のために起こっていた症状を緩和します。
ホルモン補充療法(HRT)は乳がんや子宮ガンになりやすいという話がまことしやかにされているが、研究者らは因果関係を確率させるために必要な基準の大半を満たしていなかったそうです。
ガンのリスクは上昇するかもしれないし、上昇しないかもしれないし、上昇を確立させることは確率できないという結論とのことです。
ホルモン補充療法(HRT)を中止してから5年後にあらゆるガンのリスクは通常に戻るとされています。
詳しく知りたいかたは、こちらの海外ガン医療情報リファレンスを参考にしてください。
ホルモン補充療法(HRT)と乳癌との関係を明らかにした研究は間違い
漢方療法
ホルモン補充療法のレベルではない場合や、抵抗がある人に対して漢方薬で症状を緩和しながら『エストロゲン』の減少に体を慣らします。
更年期症状によく使われる漢方薬
加味逍遙散 (かみしょうようさん) |
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちのある方の更年期障害、不眠症など |
---|---|
温経湯 (うんけいとう) |
体力中等度以下で、手足がほてり、唇がかわく方の更年期障害、不眠など |
五積散 (ごしゃくさん) |
体力中等度又はやや虚弱で、冷えがある方の更年期障害、頭痛など |
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん) |
比較的体力があり、肩こり、頭痛、めまい、のぼせて足冷えなどのある方 更年期障害、肩こりなど |
温清飲 (うんせいいん) |
体力中等度で、皮膚はかさかさして色つやが悪く、のぼせる方の更年期 障害、神経症など |
当帰?薬散 (とうきしゃくやくさん) |
体力虚弱で、冷え症で貧血の傾向があり疲労しやすい方の更年期障害 むくみ、冷え症など |
最近では漢方だから安心とか、生薬は安心という認識をしている人が増えています。
漢方薬も副作用がまったくないわけではありません。
一般的な薬にくらべて副作用の発言率が低いという認識が正しいです。
また、漢方治療だと効果がでてくるまでに時間がかかるんでしょ?っていう人がいます。
そんなことはなく、漢方治療も即効性はあります。
カウンセリング
自律神経の乱れが原因でホットフラッシュだけでなく不安症やうつ、不眠症などに悩まされる人もいます。
心のケアも大事な治療です。
生活改善のアドバイスや食生活のコツなどもして貰えます。
女性なので汗ばかりかいていると恥ずかしくて気になって気持ちが焦ったりします。
でも、焦ってばかりだと余計に症状が強くでる傾向もあるそうです。
自分一人で悩むより、専門のお医者さんに相談することが解決の近道だと思います。
更年期は何科?
更年期障害を診てほしいときは、産科・婦人科・産婦人科が多いです。
こちらの病院ナビさんは、あなたの症状に合わせた病院を素早く検索することができます。
現在地から近くの病院を探すことができて便利です。
病院なび 「全国のクリニック・診療所・医院・病院検索サービスです。」
次は、急にホットフラッシュの症状がでた時の対処法を説明しますね。
ホットフラッシュの対処法
ホットフラッシュで一番困るのが、『汗』の対処法です。
まわりの目が気になるし、服に汗ジミができないか不安にもなるし。
そこで3種の神器があります。
- ウエットティッシュ
- 扇子
- ハンドタオル
ウエットティッシュは汗を拭くことはもちろんですが、首筋を冷却するのにも役立ちます。
最近は収れん作用(スーッとすること)の強いウエットティッシュも出ています。
男性の顔を拭くウエットティッシュなどは、かなりの収れん効果があります。
収れん作用のあるウエットティッシュで首筋を拭くと、かなり発汗が落ち着き気持ちも緩和します。
扇子は『のぼせ』や『ほてり』が出た時に重宝します。
もちろん汗が出た時にも重宝します。
ハンドタオルは厚手のタイプがオススメです。
ハンカチではちょっと心もとないので、ハンドタオルならバッグに入れてられるし便利です。
気持ちを落ち着けることも大事な対処法です。
気持ちを落ち着けるのは習慣化ができます。
たとえば、昔から人前に出るときに『人』という字を3回手のひらに書いて飲み込むとか。
これは、自己暗示です。
自己暗示をかけて普段と変わらない状態にしようというルーティンワークです。
ホットフラッシュになった時も、落ち着くまで呼吸を深くして少し落ち着いたらハーブティーを飲むなど。
自分なりのルーティンワークを作る。
心が落ち着くことが一番大事な対処法です。
オススメの対処法で、簡単にできるのが【ツボ押し】
のぼせが強い人は
『太衝』足の甲のツボ
『血海』ヒザの少し上、内側のツボ
をグリグリします。
気の停滞を改善して上にのぼった気を下ろします。
汗が止まらない人は
『合谷』手の人差し指に伸びている骨と親指に伸びている骨の付け根のツボ
『後渓』は小指の根本、手刀のツボ
合谷をグリグリとして発汗を抑え、後渓をヤワヤワ押しでバランスを整え緩和します。
ほてりが強い人は
『神門』は手首の付け根のツボ
『三陰交』はふくらはぎの下で足首より手のひら一つ分上にあるツボ
『太渓』は足首の直ぐ上の内側のツボ
すべて心を落ち着けるツボです。
ヤワヤワ押しでカーっと上った気持ちを緩和します。
ツボの位置など詳しく知りたい人は、下記を参考にしてください。
体温調節
体温調節がしやすい服装でいることもポイントです。
サッと羽織ったり脱いだりできる服がオススメ。
ホットフラッシュの症状として上半身が特に体温調節がうまくいかないことが多いので、熱く感じたり発汗が止まらないときはサッと脱いで調節しましょう。
ホットフラッシュの予防・ケア
ホットフラッシュのケアで一番最初に考えられるのが『サプリメント』です。
漢方薬は東洋医学。
サプリメントは西洋医学。
エストロゲンの減少が大きな要因のホットフラッシュ。
それならば、エストロゲンを補充する必要があります。
ホットフラッシュに効果的なサプリメント
治療ではホルモン補充療法(HRT)がありますが、サプリメントでもケアは可能です。
まず、一番最初にあげられるサプリメントは『大豆イソフラボン系のサプリメント』です。
大豆イソフラボンの構造式がエストロゲンの構造式に似ていることが分かってから、サプリメントの一番手にあげられています。
厚生労働省研究班による大規模コホート研究でも、食品からのイソフラボン接種が多い日本人女性ほど、乳がんや脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低下するという報告がでています。
ただし、注意点が一つ。
同じ量の大豆イソフラボンを摂取したのに、効果が高い人がいます。
大豆イソフラボンを摂取したときに大豆イソフラボンの成分【ダイゼイン】という成分を腸でそのまま吸収する人と、【エクオール】という成分にして吸収する人がいることが判明しました。
【エクオール】という成分に変換して吸収する人の方が、エストロゲン活性がより高いという結果がでています。
日本人は大豆の摂取量が多い人種です。
豆腐や納豆など、大豆をよく食べている人種なので【エクオール】に作れる人の割合が世界の中でも高いです。
欧米人だと20~30%。
日本人は約半分の50%といわれています。
しかし近年の食生活の変化で、若い世代の人は欧米人と変わらない20~30%の割合まで下がっています。
どうして下がっているのかというと、腸内環境の違いではないかという話があります。
むかしの日本人は和食中心。
食物繊維も今より多く摂取していました。
もちろん大豆関連の食品の摂取量も今とはぜんぜん違います。
腸内環境が整いやすい食生活でした。
大豆を毎日食べている人はあまり食べない人に比べると倍近くエクオールを作れます。
更年期世代の人は意識をして大豆を食べることがオススメ。
ただ、食品で摂るには限界があります。
そこで、サプリメントを有効利用します。
大豆イソフラボンのサプリメントやエクオールのサプリメント。
あなたがエクオールを作れる人かどうかを調べられる検査もあるのでチェックしてみてください。
『サポニン』もサプリメントで摂るとホットフラッシュの症状を緩和してくれます。
『サポニン』は『エストロゲン』の減少を緩やかにしてくれます。
『エストロゲン』の減少を緩やかにしてくれるので、体が対応しやすい状況を作ってくれます。
自律神経のバランスを整えてくれるんです。
亜鉛も自律神経のバランスを整えてくれる役割があります。
ホットフラッシュの症状は『エストロゲン』の減少によるものが大きな要因です。
『エストロゲン』そのものの変わりを大豆イソフラボンやエクオールにサポートして貰い、自律神経のバランスを『サポニン』や亜鉛でサポートしてもらう。
日々のケアで症状が緩和したという声も多数あります。
『エストロゲン』の減少が落ち着くと自律神経のバランスも整い症状が緩和されるので、急激な減少に対してどう対処・ケアするかがポイントになります。
市販の更年期対策の医薬品
市販の更年期対策の医薬品も症状の緩和が期待できます。
「ルビーナ」は、漢方処方「連珠飲(れんじゅいん)」をベースにした第2類医薬品。
「命の母」は、漢方の3大婦人科処方をベースに、更年期に役立つ栄養素を配合した第2類医薬品です。
食生活の改善
刺激物はホットフラッシュを誘発させると言われています。
カフェインやアルコールは控えるようにしましょう。
また、和食中心の食生活がオススメ。
大豆をよく食べるようにしましょう。
ホットフラッシュと睡眠
加齢による不眠や睡眠不足は男女ともに起こります。
女性は特に『ほてり』『のぼせ』『発汗』のホットフラッシュの症状で、寝つきが悪くなったり中途覚醒(途中で目が覚めること)を起こしたり、熟睡ができなかったりが男性より多くあります。
更年期による『うつ』や『不安』なども相まって、質の良い睡眠がなかなかとれない人も多いようです。
普段から睡眠の質をよくする意識も非常に大事なポイントです。
ホットフラッシュはいつまで?
ホットフラッシュの原因は『エストロゲン』の急激な減少に体がついていけなくなり、自律神経のバランスを崩してしまうことが大きな要因です。
グラフの通り、50代後半くらいから『エストロゲン』の減少も落ち着きなだらかになりだすと症状は緩和します。
体が『エストロゲン』の減少に対応しはじめたからです。
初潮がきて生理が安定するまでの期間と同じくらいと考えても良いと言われています。
生理が安定するまで3年くらいかかった人は、3年くらいでホットフラッシュの症状が緩和する人が多いそうです。
ホットフラッシュの辛さがずっと続くわけではありません。
まとめ
- ホットフラッシュは『のぼせ』『ほてり』『発汗』が代表的な症状
- 女性ホルモン『エストロゲン』の減少が大きな要因
- 『エストロゲン』の減少が自律神経のバランスを崩す
- 簡略更年期指数(SMI)で病院へ行くかどうかの自己判断をする
- 治療はホルモン補充療法(HRT)や漢方療法、カウンセリングなど
- 症状が出た時の対処法としてウエットティッシュ・扇子・ハンドタオルが重宝
- サプリメントなどで症状の緩和も大切
- 睡眠の質も上げることで症状を緩和
- 体が『エストロゲン』の減少に対応し始めると症状も緩和
人それぞれ症状の重さが違うので、これが一番良い治療法やケアだと言い切ることができません。
しかし、何もしないのは状況が変わらないので自分の症状に合わせた対処やケアが大事です。
体が慣れやすい状況にしてあげると、症状も緩和されるはずよ。
家族やパートナーにも理解してもらうと、あなたの負担も減ります。
特に、男性は自分に起きないことをなかなか理解しようとしない生き物です。
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